「地域活性化をどうしよう?! 打ち上げ花火のような一過性のものではなく、自治活動に踏み込んだ何かができないだろうか?」
芋井地区住民自治協議会事務局長 山口廣人さん
飯縄山の裾野、長野市内からは車で30分以内に位置する芋井地区。人口約2000人(令和3年12月)、高齢化率は約40%となっている。別荘地や観光地を含むとはいえ、中山間地の抱える課題がここにもある。少子化、遊休農地の荒廃、一人暮らし高齢者の増加、空き家の増加、地域の担い手不足、買い物のできる店がない、地域コミュニティの希薄化や集まれる場所がない、バスの本数が少ないなどなど。
「持続可能な地域をどうつくるのか」について、山口さんたち、長野市芋井地区住民自治協議会の役員は試行錯誤してきた。平成2年に、周辺地域と合同での講演会があった。そこで出会った、NPO法人長野県NPOセンターの提案で「いもいリビングらぼ」をスタートすることになった。
「いもいリビングらぼ」は、「こんな地域に住み続けたい」という希望をゴールに見据え、若い世代が新しい地域活動のあり方を探る研究室。この夏「いろんな人が立場を超えて情報を共有し、協働する場です。新たな発想で芋井地区の未来を一緒に考えていきませんか?」とホームページで広く呼びかけた。
対象の中に「芋井地区若手住民の方(気持ちが若い方含む)」という一文が印象的だった。気持ちの若い10代から80代まで、地区内外から20人以上が応募。農業者や、NPO、学生、公務員など様々だ。10月には第1回目を開催し、多様な参加者が自己紹介をしあった。
特に、長野県NPOセンターがここ数年推進する、学生の市民活動集団ユースリーチが参加。高校生の頃から学校の枠を超えて、NPOと一緒に市民活動をしてきたACTのリーダー内山拓巳さん(長野大学1年生)の存在も大きい。
「高校生の頃から地域活性化に関心があった。今年は、芋井地区に入って、地元の方と一緒に活動したい。例えば具体的に農業をしたり、サマーキャンプをするなど、自分たちにできることを考え実行し、長期的に関わって行きたい。そして循環型地域実現を目指したい」と、目を輝かせる。
2021年12月11日の第2回らぼにはオンラインも合わせて22人が参加。地域にあったらいいものについてアイデアを出し合った。
小型バス、コンビニカー、ソーラーカー、移動スーパー、プレーパーク、屋外広場、診療所、森林体験、サイクリングコース、交流の場などなど。様々なアイデアが上がった。
「(世代や立場を超えて)楽しく交流したい」というのも、このらぼの特徴。参加した学生2人や、NPOのメンバーも、物怖じせず地域の人たちと積極的に意見交換をした。
らぼは毎月開催予定。また来年度夏には、地域内にあるNPO法人の農場での農業体験、サマーキャンプなども予定している。そして、地域の中長期計画をたて、らぼで出てきたアイデアを1つでも多く実践していくことを目標にしている。
取材・撮影・文: ナガクル編集デスク 寺澤順子