犬と共に交流しながら、オープン前のドッグラン周辺をクリーンアップ!
天気が良く暑さを感じる陽気になった2025年5月18日の朝、長野市の犀川第2緑地※に大型犬から小型犬まで、さまざまな犬を連れた人々が集まりました。NPO法人家庭犬育成協会パドックNAGANO(以下パドックNAGANO)が企画した清掃活動「wankotoクリーンアップin犀川グラウンド」に集まった参加者たちです。
※長野赤十字病院南の犀川河川敷(長野市川合新田)

パドックNAGANOは長谷川裕之さんと孝子さん夫妻が中心になり、2014年にNPO法人として設立しました。飼育放棄により殺処分される犬猫が多く存在していたことから、犬と人が幸せに暮らせる社会を目指して、しつけ方教室などを通し飼い主が無理なくしつけを学べる場やさまざまなイベントを開いてきました。現在は長野市内を中心に30人ほどの会員がいます。
今年度から「犬と歩けば。。プロジェクト」(令和7年度ながのまちづくり活動支援事業補助金対象)をスタート。このプロジェクトは、「犬の飼い主のマナー向上と適切なしつけの促進を図ることと、様々な体験を楽しむことを2本柱として、犬を飼っているいないにかかわらず相互理解を深めることで、人と犬が共生する社会を目指す」を目的にしています。
今回の清掃活動もプロジェクトの一環で、6月に犀川第2緑地にドッグランがオープンするのに先駆けて、皆が気持ちよく利用できるようにと呼びかけたものです。会員以外にも広く参加者を募り、28名20頭が参加しました。


飼い主のマナー向上で、時代と共に市民の意識が変化
長野市では昭和38年に都市公園条例が改正されて以来、公園に動物を引き入れて入ることが禁止されてきました。フンの放置や園内の踏み荒らしなど、一部の飼い主のマナーの悪さが問題となり定められたものでした。
令和3年度に長野市が実施した「まちづくりアンケート」結果によると、「公園での犬の散歩は全て禁止すべきである」と回答した人は、平成23年度は17%いましたが、令和3年度は8.7%に減少。「散歩ができる公園を増やしていくのが良い(大規模な公園の限られたエリアなど)」と回答した人は、平成23年度は25.9%にとどまっていましたが、令和3年度は42.5%に増加しています。


このように市民の意識が変化していることを背景に、愛犬家からの要望や公園の周りの住民の声も聞きながら、すでに指定区域内のみ犬の散歩を可能にしていた7公園に加えて、令和6年に「城山公園」(指定区域内のみ)での犬の散歩も可能になりました。城山公園は、今年4月からさらに散歩可能エリアが広がりました。
「公園に犬を連れて入れないまち」を変えるために必要なことは?
一部の公園の指定区域のみで犬の散歩が可能になったものの、長野市では現在に至るまで長らく公園への犬の連れ込み禁止が続いています。「公園を開放してもらうためには、飼い主側のマナーが向上することが必要なので、公園の開放を求めることとマナー向上のための活動を並行して行っていきます」と裕之さん。
孝子さんは「犬が人との絆を紡ぎ、犬と共に愛犬家仲間同士で幸せをシェアできる団体として活動してきました。しかし、愛犬家コミュニティとして自分たちだけで固まるのはどうなのかという思いがありました。犬がいることでコミュニケーションのきっかけも生まれます。たとえば子どもたちが犬と触れ合うのはとても良いことです。飼いたいけれど飼えない人も一緒に散歩を楽しむ機会があってもよいのではないでしょうか」と話します。
清掃活動に参加したミックス犬のあずさちゃん(9歳)は、ほかの犬と出会うのは散歩ですれ違う程度で、怖くて吠えてしまう子だったそうです。4歳くらいからパドックNAGANOの集まりに参加するようになり、徐々に他の犬との距離感を覚えて今では吠えることなく参加できるようになったそうです。「犬は歳を取ってからでも、環境次第で変わることができます」と飼い主さん。

今回の清掃活動のようなイベントに飼い主と犬とが参加することで、知らない犬とどう接触するか、トラブルになりそうな時の回避の仕方など、犬同士がコミュニケーションの仕方を学ぶ場になり、飼い主も犬のコントロールの仕方を学ぶ機会を得ています。
犬2頭を連れて、子ども2人と清掃活動に参加していた須坂市の女性は、「大型犬を飼っているので、連れて歩いていると『わー!』と大きな声を出して驚かれることがあります。近くで突然大きな声を出されると、犬も驚いて動転してしまうことがあるので、普段から犬と触れ合い知ってもらう機会をもつことは大事だと思います」と話していました。
これからもパドックNAGANOは犬と人が共生し、共に幸せに暮らせる社会を目指していきます。


