長野市が市民公益活動団体(住民自治協議会を含む)の協働によるまちづくりを推進することを目的に、自主的なまちづくり活動に対して資金面で支援する「ながのまちづくり活動支援事業補助金」。
この補助金の「令和6年度採択団体 活動報告会」が2025年5月23日(金)、長野市役所第一庁舎で開かれ、関係者ら約40人が参加して、1年間の活動成果などを聞きました。

報告を行ったのは全14団体。各5分という短い時間で、パワーポイント資料を用いて活動の様子と成果などを報告しました。以下、報告のポイントと説明資料の一部を掲載します。
災害死・関連死ゼロをめざして危険マップを作製【芹田地区住民自治協議会】
「芹田地区谥水箇所危険マップ」を作製し、全戸に配布した。10月には住民100人規模の避難訓練を実施。「防災計画」の充実に向けたアクションプラン(令和6年度の活動をふまえて9年度までの活動3か年計画)を作成し、学校と地域を巻き込んだ地域一体合同防災訓練の実施などを計画している。


多世代交流と支え合いの居場所「子ども・大人食堂みんなみ」【みんなみ】
地域のつながりを育む「子ども・大人食堂みんなみ」は、朝陽地区での多世代交流と支え合いの居場所をつくっている。食事の提供を通して、地域の人とのつながりを深め、子育て支援や介護、防災に活用。多世代がつながる地域づくりをめざし、健康づくり講座やそば打ち見学を行い、0歳から80代まで幅広い年代が参加して、交流が広がっている。


保育園と連携して園児の稲刈り体験【特定非営利活動法人Oooka森の学び舎】
保育園と連携した稲刈り体験に親子70人以上が参加。稲を手刈りしてはぜ掛けした。コンバイン袋に園児が絵を描き、脱穀も有志で協力。収穫した米の一部を「ころぽっくるこども園」と「学び舎めぶき」に提供した。また、ヘーゼルナッツの試行的栽培もはじめている。


福寿草群生地に観賞路などを設置【小坂福寿草群生地愛護会】
七二会に福寿草群生地があることを知り、立派な観光資源になると考えて9年前に愛護会を結成。さらに魅力を高めるため、観賞路と転落防止柵、ベンチ、案内板、説明板などを設置した。開花期間中は、ひと月で約2000人が訪れた。珍しいきのこと山野草も多く、春・秋の植生調査と福寿草の株分け講習なども行っている。


防災の学びを深めるシンポジウムと学生コンテスト【更北地区住民自治協議会】
防災の学びを深めるため、シンポジウムと学生コンテストを実施。防災啓発シンポジウムは「災害弱者の避難について考える」をテーマに、備蓄食の考え方と栄養、障がい児の支援にできることなどを考えた。防災啓発学生コンテストは、8グループが応募し斬新な発想と思いやりが感じられた。


「めぶき展」や「めぶきマルシェ」を開催【学び舎めぶき】
若者の自立支援、社会とつながるサポートの機会づくりのため、絵やモノで一人ひとりが表現できる場「めぶき展」や、それぞれの得意を活かしてみんなでイベントをつくる「めぶきマルシェ」などを開催。自立に向けてさまざまな経験を積み重ねる機会をつくっている。活動は地域の人から相談を受けるきっかけにもなっている。


観光ルートをショート動画で発信【しなてら】※学生枠
松代(日帰り×路線バス「松代の旅」と「食べ物編」の2本)、更北(日帰り×路線バス「川中島古戦場」)、豊野(日帰り×電車旅)の各観光ルートを動画で発信。TikTokにあげたショート動画4本で総再生回数5万を超えた。実際に地域を訪れることで、地域の方々と交流し、より魅力を感じることができた。


住民との対話と古民家の改修を通じて交流【信級すみずみLAB.】※学生枠
学生×地域のアイデアで生まれる実験的な取り組みとして、長野市信州新町信級(のぶしな)地区で2年目のプロジェクト。広く信級を知るため、住民との対話を通じた文化継承と、交流拠点になる古民家の改修を通じた交流で地元の大工に教わりながら、柱の補強、土壁の下地づくり、壁塗りなどを行った。


鬼無里の自然や伝統を生かしたイベント【きなさっぷ】※学生枠
長野県立大学のサークルで、鬼無里の自然や伝統を生かしたイベントとして、11月におやきづくり、2月に「きなさの雪でおもいきり遊ぼう」を実施した。サークルでは、「自分たちのやりたいことに挑戦できた」ことを成果とし、「もっと回数を多く、効率的に宣伝して参加者を増やしたい」と意気込んでいる。


安全安心のまち、災害からの復興まちづくり【豊野地区住民自治協議会】
災害時の「逃げ遅れゼロ」の体制づくりをめざし、改訂版「わが家のガイドブック」と「わが家の防災マップ」による防災学習を実施。全戸配布し、各地区で勉強会を開催した。令和元年東日本台風災害を忘れない「10.13を伝えていく集い」で防災の大切さと歴史に学ぶ災害への備えを考えた。


長野飛行場の案内看板などを設置【芹田商工振興会】
長野飛行場の歴史保存活動として、犀陵中学校昇降口前と長野飛行場跡地に案内看板を設置。プロペラと石の門柱を保存した。犀陵中学校のまちづくり地域学習には、信州大学工学部大学院生が協力。案内看板の除幕式にあわせ、ウォーキングイベントと紙飛行機大会を実施した。


減災ナース養成セミナーなどを実施【信州まちの減災ナースの会】
自主防災組織や住民自治協議会と連携・協働し各避難所を担当する減災ナースの導入を構築するため、年3回の養成セミナーとフォローアップ研修などを実施。3か年(1~3期)のセミナー受講者は27名。この間の活動をまとめた報告書を作成した。今後、人材養成プロジェクトを立ち上げる。


農業体験などの活動に112人が参加【シェアビレッジIIZUNA】
都市住民との関係人口創出、コミュニティづくりをめざして、農業体験プログラムを実施。8月以降9回の活動に延べ112人が参加した。また、活動を知ってもらうため地域新聞イーモイを発行。地域で取り組んでいる「いもいリビングらぼ」と「草刈りバスターズ」にも参加するなど、地域になじんで交流し、より活動を進めていく考え。


問いと向き合い自分を探すプログラム 【JIBUN発旅するラボ 運営委員会】※学生枠
問いと向き合い自己を探すプログラムとして、対面で集まって対話する「キャンプ」と、ラーニングジャーニー、ファシリテーション研修を実施。自分について考える機会や、日常の忙しさで気づく場がないといった学生と企業人が参加し、年齢関係なく交流した。会では引き続き、「自分らしさ」をみんなで見つけるメンバーを募集している。


活動報告を受けた審査委員のコメント(一部)
〇補助金を活用したまちづくりを興味深く聞いた。魅力的な活動を続けてほしい。
〇報告を楽しく聞き、書類審査とプレゼンテーションではイメージしにくかった活動と成果がよくわかった。
〇時代に合わせてSNSやデジタルを活用し、年代の差を感じた。
〇長野市がいち早く取り組んだすばらしい補助金をしっかり活用してほしい。
〇市民協働サポートセンターと、若者スクエア「ふらっと♭」も活用して、横のつながりをつくって活動をより広めていってほしい。

ながのまちづくり活動支援事業補助金とは
市民公益活動団体(住民自治協議会を含む)の協働によるまちづくりを推進することを目的とし、自主的なまちづくり活動に対して、長野市が資金面で支援するものです。
対象者は、市内で活動する構成員が5人以上で、複数の市民(市内在住・在勤・在学)を含む市民公益活動団体。
2025年度(25年4月1日~26年3月31日に実施予定の事業)は、24年10月1日~11月8日まで募集を受け付けました。(「学生枠」は別途)
学生枠は、学生のまちづくり活動への参画を推進し、学生が有する柔軟な発想力や行動力を、地域の活性化や魅力向上に活かすことを目的とし、学生自らが発案・企画して自主的に取り組むまちづくり活動や、地域団体等と連携・協働して主体的に取り組むまちづくり活動に対して、長野市が資金面で支援するものです。
応募には、市民協働サポートセンター(もんぜんぷら座3階)での事前相談が必須です。同センターでは、団体運営等に役立つ各種講座を行っているので、積極的な受講を勧めています。
<取材/編集>ソーシャルライター 吉田 百助



