#物価高騰が気にならないSDGs時代の【当たり前】な暮らし

物価高騰の今こそ、SDGsがめざす「持続可能な暮らし」を考えたい。

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ソーシャルライター 吉田 百助
 2022.11.4

働きに出て稼いだ金で「食べモノ」を買う。子どもがいれば施設に預け、働きに出て稼いだ金で利用料を払う。現代の社会人が【当たり前】に考えている一般的な暮らしだろう。

一般的とは言え、自然や子どもと過ごす時間を金に換え、常に時間と支払いに追われるような暮らしが「しあわせ」なのだろうか。

食べものを自給し、近所で助け合う関係は、昔は【当たり前】のことだった。食卓には、畑や野山で採れたものが並んでいた。たくさん採れたものは、ご近所や親戚に「おすそ分け」し、漬物や乾燥などの手を加えて貯蔵した。足りないものがあれば、ご近所と貸し借りして助け合っていた。

そんな【当たり前】が変わったのは、昭和時代の高度成長期からだろう。産業が分業化し、核家族化が進み、女性の社会進出が盛んになった。便利な電化製品が生活を変え、さまざまなサービスが暮らしを変えていった。

食べものは、便利さや手軽さが好まれるようになった。農業者は「買った方が安いモノ」の栽培を止め、「売りモノ」を集中してつくるようになった。結果、消費者も農業者も、食べるものは「買うモノ」になった。

物価高騰で困った「買うモノ」生活

2022年は世界中で物価が高騰し「買うモノ」生活が困ったことになった。食料品や日用品をはじめ、あらゆる商品やサービス、燃料が値上がりし、家計を直撃している。中には、価格が変わらなくても内容量が減っている「ステルス値上げ」もある。

物価上昇のひと目でわかる消費者物価指数「総合指標の動き」

総務省が2022年10月に発表した「消費者物価指数 全国2022年9月分」のうち「(すべての商品を網羅した)総合指数の動き」(上図)は、2020年を100として103.1。前年同月比は3.0%の上昇だった。

値上がりが顕著なのは、電気・ガス・ガソリンといった燃料。これらの値上げは、製造や輸送のコストに影響する。原材料の調達をはじめ、あらゆる商品やサービスが値上がる一因につながっている。

値上がり社会と縁遠い 自給的な暮らし

そんな値上がり社会とは縁遠い暮らしを営む細井千重子さんを訪ねた。住まいは、長野県南相木村。標高は約1,000mになる。ちなみに、47都道府県の中でもっとも高い場所に建っている長野県庁本庁舎の標高は、約371mしかない。

細井千重子さん。著書「寒地の自給菜園12カ月 年間切らさず収穫し、おいしく加工貯蔵する」(発行:農山漁村文化協会)で、自給菜園のつくり方や暮らしぶりを詳しく紹介している。

細井さんは、「買い物はあまりしない」と言う。日々の食事は、自宅に隣接した約5アール*の畑で年中、食材をまかなっている。同じ作物であっても収穫できる期間を増やすよう、種をまく時期をずらして調整している。
 *5アール=500平方メートル=20m×25m

季節ごとの野菜に、実のなる木も、花も、ハーブも、いっしょに育っている畑。山や野原と同じ環境。さまざまな植物が同居して、さまざまな生き物が寄ってくる。ミミズや微生物が土をつくり、有機物が豊かな土は植物が育ちやすいフカフカの団粒構造になる。

病害虫は本来の栽培時期と異なる野菜につきやすいが、「旬の野菜には病害虫がつかないので、農薬は使う必要がない」と、細井さん。自然環境を整える手伝いをしているだけ。野菜は自然に育つ。耕さないで種をまくだけ。種をまかなくても前年の「こぼれ種」でまた生えてくるものも多い。葉物は肥料も追肥もやらない。

意識しているのは、土を見せないこと。父親から「裸地を見せれば貧(貧乏)になる」と教えられたという。土を露出させないよう、刈り草や落ち葉、稲わらなどを幾重にも被せている。土を露出させた裸地は、水分が蒸発しやすく、日光を嫌うミミズや微生物が逃げて行ってしまう。土が貧しくなれば、野菜が育ちにくくなり、食と暮らしが貧乏になる。なるほどの教えで、現代では「有機物マルチ」と呼ばれる手法だ。

「まだ有機物が足りない。いくら被せても、すぐに分解してしまう」と細井さん。目に見えない微生物の元気な活躍ぶりがうかがえる。

冬期間はビニールハウスを使うが、いわゆる「温室育ち」ではない。できるだけ外の寒気を入れる栽培で、野菜は自分の身を守るために栄養分を蓄え、生き抜こうと強くなる。いわば「スパルタ栽培」といった感じ。想定外の寒さにも強い。一方の温室育ちは、想定外の寒さが来たら、耐えられずに一気に全滅してしまう。

冬支度をはじめた10月上旬のハウス。寒さに負けない葉物を育てて、真冬も緑黄色野菜をしっかりいただく

こうした自給菜園を細井さんがはじめたのは、40年近く前だそうだ。当時、有機農業と言えば「ちょっとおかしい」と陰口を叩かれたらしい。以来、農薬も化学肥料も使わず、買い物もほとんどせず、豊かに暮らしている。

当時、細井さんが気にしていたのは、地域の子どもたちの不健康さだった。風邪をひきやすい、骨を折りやすい、便秘の子が多いなどが目立って見えた。

一方、農家の様子も変わっていった。兼業農家が増え、勤め人が増えた。農家なのに、食べものを買い、加工食品を使い、おやつも買うモノになっていた。

細井さんは、まず地域の実態を調査した。わかったのは、1年間の半分近く(春先と真夏と冬)の間、緑黄色野菜が採れず、子どもたちもほとんど食べていないことだった。

「年中、緑の野菜を欠かさずつくろう。農家なんだから野菜ぐらいつくろうよ」と呼びかけたのが「農といのちを守る自給運動」だった。細井さんは、地域の母親たちとともに粘り強く運動を続けていった。

そんな細井さんの勤め先は、なんと農協だった。農薬や化学肥料を売っていた農協の中にいながら、子どもたちと土の健康まで考えて農薬などを使わない自給運動を続けるのは相当の苦難があったのだろうと、筆者は思った。

しかし、第三者の心配は、細井さんには不要だった。「農協には農薬や化学肥料以外にも買うものがある。ハウスや菜種かす、こぬか、種など自給運動のなかで必要なものを、農協でたくさん共同購入した」と明るく話す。さすがに40年の歴史を重ねてきた人だ。

そんな暮らしを見習いたいと、細井さん宅のまわりには5件の移住者が住んでいる。家々のまわりに畑をつくり、思い思いの作物を育て、物々交換しながら楽しく交流している。人口減少と過疎化に頭を悩ませている人へ伝えてほしい好事例だ。

【当たり前】を見直し、持続可能な暮らしを考える

物価高に対処するため「収入を増やす」のは、有効な手段のひとつかも知れない。家にいる人を外で働かせ、すでに働いている人は時間を増やしたり、副業を持ったりする。当面はなんとかなったとしても、この物価高はどこまで続くのかわからない。時間と体力を金に換えるのにも限界はあるだろう。

そもそも物価高の原因が、燃料と原材料、輸送費の高騰であれば、食料の6割以上を海外からの輸入に頼っている日本の先行きには、不安しかない。今までも災害発生時などにスーパーの棚から食料品が消えたといったニュースはたびたび目にしてきた。もし輸入がストップしてしまったら、日本社会はどうなってしまうのだろうか。

物価高と輸入の不安は、より便利なモノを買い求め続ける現代の【当たり前】を見直すチャンスになる。金に換えてきた時間と体力を、自然や子どもたちと過ごすために使い、わずかでも食べるものを自給する暮らし。いつでも食べるものがあると思うだけで、暮らしは大きな安心感に包まれる。

歳を重ねても、畑で過ごす時間が楽しみで、明るく健康に毎日を過ごせる細井さんの暮らしぶりこそが、世界の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の考えを実践する【持続可能な暮らし】だと思えた。

<取材・執筆> ソーシャルライター 吉田 百助

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 #「潜在保育士」の発掘と職場復帰が求められる

「潜在保育士」の発掘と職場復帰が求められる

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取材・撮影・執筆・編集/ ナガクル編集デスク 寺澤順子
 2022.3.31
2021年11月23日、安曇野市で県(委託先:県社協)が開催した潜在保育士むけセミナーと就職相談会の様子

保育士資格を持っていても働いていない人を発掘!!

今、潜在保育士の発掘と、職場復帰が求められています。

「保育士として、もう一度働きたいけど自信がない」「我が子と一緒にいたい。でもお金も欲しいから働こうか迷う」「保育の現場から離れて久しい。復帰できるか不安」「今の保育現場がわからないため、働く自信がない、相談したい」「保育士の免許をとって短時間だけでも役に立ちたい」・・・・

これらは、潜在保育士向けの就職セミナーでの、相談会出席者のコメントです。「潜在保育士」とは、保育士の資格は持っていても、資格を生かして働いていない保育士のことです。結婚で移住したり、子どもができたり、病気や介護などで離職せざるを得なかった人たち。または、保育士の資格を持ちながら就職先が見つからず別の職についてきた、または子育てが一段落した人たちのことです。世代は20代から60代まで様々です。

セミナーと相談会は2021年度に安曇野市と長野市で開催されました。主催したのは長野県(委託先:長野県社会福祉協議会)で、保育士資格を持つ専門員が中心となって開催。行政の保育課だけでなく、NPO法人や民間の保育施設も参加し、園関係者二人のセミナー後に、それぞれの施設がブースを持ってステージ発表をし相談も受けました。参加者は両会場に各20〜30人程度が集まりました。

セミナーでは、「信州型やま保育」をはじめとする、子どもの自主性を引き出す保育の紹介や、保育士の給与のベースアップ、そしてパートタイムなど多様な働き方について説明がありました。

潜在保育士を保育現場に登用するための仕組みづくり

厚生労働省2018年統計によると、保育士資格登録者数は159万人で、そのうち従事者は54万人です。3分の2が、保育士の資格を持っていても、それを活かし働いていないのが現状です。一方で需要は大きく、特に都市部では、待機児童が課題となり、保育の受け皿を拡充しようと、公費を投入してきました。

長野県では、「子育て安心プラン」を受け、特に子育てをしながら労働人口を増やし、県の経済を支えるために、保育施設や一時預かりなどの充実、保育士の研修強化、魅力ある保育「信州型やま保育」の推進、潜在的な保育士確保などに力を入れてきました。

長野県令和4年度当初予算案

しかし、保育施設を充実させ、主に女性の働く機会をサポートすればするほど、未満児や、障がいのある子どもも含め、保育施設で働いてくれる保育士の確保が課題となってきます。保育士の多くは女性であるため、早朝や夕方以降の延長保育、休日保育などに勤務ができる、多様な人材が求められます。短時間でシフトを組んだり、短時間契約での幅広い年齢層の保育士が必要となります。

そのため、冒頭で示したように、保育士の資格を持っていても保育士として働いていないいわゆる「潜在保育士」の発掘と就職支援、そして保育園への短時間契約の呼びかけが重要となっています。

冒頭のセミナーでは「現在、保育園では、20代から70代、男性も含めて多様な人材での子育てが求められている」とも言います。

長野県保育士人材バンクは、保育士と園を専門員が結ぶ事業

現在、長野県社会福祉協議会が長野県より委託を受け、中南信・東北信それぞれに保育士の資格を持つコーディネーター役の「専門員」を配置。厚生労働省が運用するオンラインの「福祉のお仕事」のネットシステムを活用して、保育施設に求人登録をしてもらい、一方で潜在保育士にも登録を呼びかけ、希望者に対して短時間からフルタイムまでのマッチングを無料で行っています。

この事業の肝は、保育士として再就職しようかどうか迷っている人が、「専門員」に個別に相談できるのが特徴。また保育園・認定こども園、放課後デーなど保育施設など幅広い事業所が、求人登録でき同一の専門員に相談することができるのです。

上記は保育士の資格を持った人で働いていない人むけのチラシの一部


潜在保育士の職場復帰に協力を!

筆者は、この事業の広報戦略に関わってきました。しかし、なかなか潜在保育士へのアクセスをどうしたらいいのか手立てが見つかりません。

行動的で産後すぐに就職したい保育士は、民間のサイトや、口コミなどでいいところに就職していきます。しかし、県外から結婚で長野県に住むことになり、見知らぬ土地で子育てをする潜在保育士にとっては、就職活動はハードルが高い。そこでこの事業が役立ってくると感じました。

そして、筆者が取材の際に驚いたのは50代になって自身の子育てを終えてから保育士資格を取得し、第二の人生を保育士として貢献したいという人たちに出会ったことです。経済的な困窮の中で、長時間の共働きが必須となる社会で、早朝保育や夕方の延長保育で働いてくれる年配の保育士や、子育て中の保育士に代わってお昼休みに事務作業の合間だけサポートしてくれる保育士、そして放課後デーのような、障がいのある子どもたちのために夕方や休日だけ勤務してくれる保育士。多様な人材のニーズは高まる一方です。

どうやって潜在保育士に呼びかけ、丁寧に働くことをサポートできるのか。そんなコーディネーターの人材確保や育成が重要です。多くの市民に、この課題をもっと発信して、地域の宝である子どもたちや保育施設を応援していきたいと感じ執筆しました。

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 #99%以上が中小企業の長野県で、魅力ある仕事と出会える求人メディアがスタート

99%以上が中小企業の長野県で、魅力ある仕事と出会える求人メディアがスタート

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執筆者:松井明子 (ナガクルソーシャルライター)
 2022.3.19

人事に手が行き届かない中小企業をサポートする「地域の人事部」

長野県内の企業数は73,325社、うち中小企業は73,189社
全企業の常用雇用者数の総数は494,379人で、そのうち中小企業は405,878人
(2016年6月 中小企業庁ウェブサイト 都道府県・大都市別企業数、常用雇用者数、従業者数(民営、非一次産業、2016年) 統計表より)

大企業であれば、お金をかけて自社で大々的な採用活動ができますが、県内企業の実に99%以上が中小企業
規模が小さな会社であれば、経営者自身が営業、管理、製造現場など全部を見なければならず、会社のために孤軍奮闘するなかで、人事をある意味「片手間」的にこなさないといけません。

塩尻市のNPO法人MEGURU「地域の人事部」をテーマに、「地元の中小企業に人事の専門性が行き届いていない」という地域課題を解決するために、会社単体ではなく地域単位で人事機能をシェアしようという発想で、2020年に設立されました。

MEGURUは新たな取り組みとして2022年2月、求人メディア「ながの人事室」をスタート。「人手」ではなく、想いを持った経営者の「仲間」となる中核人材のみを掲載するウェブサイトをオープンしています。

「たくさんお金が欲しい」「いい条件で働きたい」というのではなく、共感できる人たちと価値ある仕事をしたい。そんな求職者と企業をつなぐオンラインサービスです。

※筆者も、求人記事の発信をお手伝いするライターとして関わっており、この新たな取り組みを紹介したいと思います。

「地域」というコミュニティで生きることの豊かさ

MEGURUの代表理事を務める横山暁一(よこやま・あきひと)さんは、人材系の会社でフルリモートで働く傍ら、2019年4月に塩尻市地域おこし協力隊に着任。現在、塩尻商工会議所の地域人材アドバイザーとして、地域の中小企業の経営支援をしています。

NPO法人MEGURU代表理事の横山暁一さん

静岡県出身で、大学在学中と就職してからも含め約10年間、名古屋に住んでいたという横山さん。
当時は家と会社の往復の毎日で、「自分の居場所は家族と職場にしかなかった。地域に対する愛着とか、この地域をどうしていこうということを話すコミュニティがなかった」と振り返ります。

生き方を変えるきっかけになったのは5年ほど前のこと。
会社の研修で、鳥取県智頭町の住民たちとチームをつくり、半年間にわたって智頭町の地域課題解決に取り組みました。
そこで、家族と職場だけでない「地域」というコミュニティを持つ住民たちに出会いました。

「将来自分たちの子どもや孫のために地域をどうしていくか、この街で育って良かったと思ってもらえるためにどうしたらいいか、ということを話すコミュニティを彼らは持っていて、それは俗にいうサードプレイスのようなものだと思った。自分が住んでいる場所に思いを共にしている人たちがいるというのは、人生にとってすごく豊かなこと。自分自身、どこかの地域の当事者となって活動したいと思うようになった」といいます。

当時結婚前だったパートナーが「ゆくゆくは長野に帰りたい」と話していて、「じゃあ長野県内に知り合いをつくっておこうか」と足を運ぶうちに、「日本仕事百貨」という求人サイトで塩尻市の地域おこし協力隊員募集を発見。「面白そうだ」と強く興味を惹かれ、結婚式前日に応募したそうです。

どんな土地で、どんな人と、どんな仕事をするか。
その価値は就労条件でははかれない

MEGURUは、次の3つの事業を行っています。

・企業向けの人事パートナー事業

・個人向けのキャリア支援事業

・企業と個人のマッチング事業

企業向けには、地域の中小企業と共に人事戦略を一緒に立てたり、人事のオペレーションをサポートするなどの人事機能の支援を。個人向けには、学生や社会人を対象にしたキャリア開発の支援などを行っています。

MEGURUのオフィスがあるシビック・イノベーション拠点「スナバ」(塩尻市)。施設管理を(一財)塩尻市振興公社が行い、塩尻市官民連携推進課が一階事業を運営。

企業と個人のマッチング事業として、人材紹介や複業人材のマッチングなどをしてきましたが、今回新たに始めたサービスが「ながの人事室」です。

横山さんがさまざまな経営者の話を聞いた中で、特に印象に残っているのが、「人手じゃなくて仲間がほしいんだ」という言葉だといいます。

経営者が、自分と同じ熱量で経営課題に向き合う仲間と出会うためのサービスができないかと考えたのが、この求人メディアでした。経営者自身の想いや企業のビジョンなどを深く掘り下げるインタビュー記事を掲載しています。

一般的には、仕事探しをしようとする人が利用するハローワークや既存の求人サイトは、給料の額や年間休日の数などの条件面が主体となっています。しかし、それだけでは、その仕事が持つ本当の価値を伝えることができません。

横山さんは「むしろ地域で働く中では、経済的な豊かさだけでなく、どんな人と、どういう環境で働くかというのが実は大事。そうした社会関係資本こそが、本当の豊かさにつながるのでは」と話します。

3月1日にスナバで開かれた、ながの人事室のライター研修。経営者らの想いを届けるために集まったプロのライターたちがお互いに学び合う(横山さんは一番左)

「ながの人事室」は、コンセプトを「仕事を『探す』から、『出会う』へ」としています。単なる人手を求める求人ではなく、新規事業へのチャレンジ、既存事業のブランディング、事業承継、ベンチャー企業やソーシャルビジネスなどで、将来企業の中核を担うであろう人材の募集を掲載。

新しい働き方にチャレンジしたい、自分のキャリアを転換したい、共感できる人たちと価値ある仕事をしていきたい、という人たちをターゲットと考えています。

当初は移住者層が6~7割だと想定していましたが、オープンしてみたら県内在住者からの反響も多かったのです。

現在7件の求人情報を掲載(1件はすでに募集終了)し、今後は1ヵ月に3社程度を目安に掲載していく予定です。

たくさんの出会いがここ、長野にある

横山さんの地域おこし協力隊の任期は2022年3月末まで。

「任期終了後は、『地域の人事部』としてのMEGURUの活動をより加速していきたい。変化が激しい時代の中で、企業はこれまで通りやっていてもうまくいかないことが出てくる。『人』という経営支援がすごく大事で、そこに対して我々がどんな価値提供ができるか。活動をより深めていきたい」

ウェブメディアとしてスタートした「ながの人事室」ですが、2月27日にはオンラインイベントも開催しました。今後、経営者の生の想いをもっと可視化できるような仕組みづくりも進めます。

横山さんは「転職したいと思ったときだけ見るのではなく、よりキャリアを前進させたいとか、面白い人たちと出会いたいと思ったときに覗いてもらえるようなメディアに育てたい。求人募集終了後も記事は残り、蓄積していく予定。共感して何かを成し遂げたいな、と思える出会いが詰まったメディアになればうれしい」と、思い描いています。


筆者も元々は千葉県からの移住者です。

長野という地域に深く関われば関わるほど、この地域の持つ課題を知り、もっと良くしようと活動するたくさんの人々に出会うようになりました。

県外に進学した長野県出身学生の県内への就職率は例年4割以下です。「地方での暮らしはつまらない」「県内には面白い仕事がない」と思い込んでいる若者も多いのではないかとも感じています。

「ながの人事室」を通じて、各企業、経営者の魅力を知るだけでなく、長野県で暮らすことの面白さ、豊かさ発見にもつながることを期待しています。

取材:NPO法人MEGURU(2022年3月1日)

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