#地域おこし協力隊、長野県で約350人、6割が定着
文責:ナガクル編集デスク 寺澤順子
 2019.3.31

地域おこし協力隊は「地方創生」の一環で2009年からスタートした総務省の制度です。特別交付税措置によって、隊員の給与や活動に伴う経費、終了後の起業経費も100万円上限で認められています。また、隊員の募集・研修(普通交付税)についても賄われています。全国で2017年度で約5000人が活動しています。

 

人口減少を食い止めるための施策

そもそも、なぜ地域おこし協力隊が必要となったか。長野県の場合も2010年度の国勢調査をもとに試算した結果、2040年には上図のような人口減少が予想され、特に中山間地はもちろん、市街地をもつ自治体でも、高齢化と少子化、生産人口の減少は深刻。消滅する集落をどうみおくるのかの議論までされてきたのです。

中山間地の村では75歳以上の後期高齢者たちが、自治の中心となり、祭りの担い手がいなくなったり、雪かきや草刈りなどを担えなくなってきました。限界集落の住民が、若い人に移住してほしい! と願ったところで、疲弊する地方の自治体にとってはアイデアも予算もなく、課題を放置せざるを得なかったのです。

一方都会では、過剰労働で疲弊した若者の過労死がニュースで大きく報道されました。二拠点生活、副業、テレワークなどの新しい労働・生活形態が話題となり、実践するオピニオンリーダーが相次いでいます。

「県内の地域おこし協力隊受入状況 市町村別」 長野県のホームページ「地域おこし協力隊の広場」より

 

6割が任期の後、地域に残るという好実績

そうした状況の中で、地域おこし協力隊が生まれました。7割が30代以下で、女性も4割。その多くが東京などの都会出身者です。任期中に結婚して定着する事例も増えてきました。長野県でも2018年4月時点で350人の地域おこし協力隊が上記の様に各自治体で活動しています。

「平成29年度中 任期終了者の動向」 長野県のホームページ「地域おこし協力隊の広場」より

 

制度の初期段階では、すぐに離職したり、地域の住民の理解が得られなかったりで、なかなか定着することが難しいという現状もありました。しかし、いま、統計を見ると全国でも6割、県内で63.8%が地域に定着しています。終了後は、農業者となったり、ゲストハウス、カフェなどを起業するなどのユニークな活動も。また地域のNPOや社会福祉協議会などへの就職という形も見られます。しかし、あくまでも終了した時点での定着の有無の調査であり、その後数年してからの追跡調査の結果はありません。

 

課題は受け入れ側の態勢づくり

今年3月、地域おこし協力隊の任期終了報告会が、いくつかの自治体で開催されました。佐久市は第一期地域おこし協力隊が3年の任期を終え、4人中3人の最終活動報告会が開催されました。平日の夜にもかかわらず、ざっと120人を超す人たちが集まっていました。

課題として出ていたのは、行政の担当者との連携でした。右も左もわからない民間の青年たちが、突然、田舎の行政に配属になって、住民との関係に一喜一憂します。やりたいことが出てきても行政との関係でできなかったり、予算が取れなかったり・・・。受け入れる側の態勢づくりはやはり大きいようです。

佐久市地域おこし協力隊第一期最終活動報告会が、2019年3月19日19:00~佐久平交流センターで開催された

市民からは「4月から住むところも取り上げられ、収入も断たれ、大丈夫なのか?」と心配する声が上がるなど、協力隊員に対して好意的な意見が多く驚きました。起業したり結婚したり、子どもができたりと、それぞれたった3年ですっかり、地元に定着したように見えました。

都会に比べて、人間関係が濃く、いつも監視され評価される地域の中で、この若者たちが実にユニークな自身のスタンスを確立できたことは、彼らの精神力とコミュニケーション能力、行動力のなせる業でしょう。都会にそのままいたら、もしかしたらこんな風に、公私にわたって多くの人に心配され、応援され、自分のやりたいことを見出せる人生は味わえなかったかもしれません。

実は県内各地に、移住者や、起業家、NPOスタッフ、行政マンなど、地域おこし協力隊とつながって面白いことをやろうとする人たちのつながりができてきました。SNSによる情報交換や、ワークショップなどのイベント増加の力は大きいかと思います。情報発信ツールの整備が、地域おこし協力隊の活動の追い風になっていることも確かです。

こうした制度は税金で成り立っています。その成功は彼ら次第ではなく、我々次第だということを忘れてはいけません。

ナガクルは国連が提唱する「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)に賛同しています。この記事は下記のゴールにつながっています。

 

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 #消える人と人とのつながり
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消える人と人とのつながり

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文:亀垣嘉明
 2018.4.14

自治会の加入率に見る「人と人とのつながり」

自治会や町内会の加入率は全国の自治体で軒並み低下。

長野県内では...

長野市96.1% 須坂市98.3%と高率の一方、南箕輪村では67.2%

南箕輪村は全国でも珍しい人口増加中の村なのに加入率が低迷しています。

今、加入率が高い県内の他の市町村も安心はできません。

地域の象徴的な存在であった自治会や町内会ですが、そのあり方や内容が現代にマッチしているのかという議論はさておき、人と人をつなぐ一つの形である事は確かです。

大阪商業大学(JGSS研究センター)の2010年日本版総合的社会調査によると、20歳~39歳の青年男性で「過去1年間、必要なときに心配事を聞いてくれた人はいますか?」という問いに14.6%の人が「いいえ」と答えています。

つまり、約7人に1人は誰も心配事を言える相手が居なかった事になります。

しかし一方で「何かにつけ相談したり、たすけ合えるようなつきあい」が望ましいという人の割合は年々減少しています。

NHK放送文化研究所 第9回日本人の意識調査より

新たなつながりを模索する必要がある

ただ、この調査結果が現代人が「相談する人がいなくてもいい」と考えている訳でも無さそうです。平成23年度 横浜市こころの健康相談センターの調査によると、男性では概ね半数以上の人が、女性ではそれより更に高率の人が「悩みやストレスを感じたときに誰かに相談したい」と答えています。

平成23年度自殺に関する市民意識調査(横浜市こころの健康相談センター )より

これは、つまり何かあった時に誰かに相談はしたいけど、職場の人や親戚、近隣(隣近所)には相談したくないという事なのかもしれません。

自治会でもない、職場でもない、親せきや隣近所でもない、困り事を気軽に相談できる新たな形の人と人とのつながり方を私たちNPOは模索していかないといけないのかもしれません。

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 #空き家対策が求められる

長野県は14.7%が空き家に
特に中山間地が深刻

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引用:平成25年住宅土地統計調査(長野県分)、平成28年長野市空き家など実態調査
 2018.2.9

別荘や貸家などを除くと、7万7400戸、全体の14.7%に及ぶ

長野県では今、空き家が大きな地域課題となっている。都会からの移住を推進するも、空き家の増加になかなか追いつかない。

総務省統計局の昭和38年から5年ごとに行われている、平成25年住宅土地統計調査(長野県分)では、住宅数98万2400のうち、空き家は19万9000世帯、そのうち、別荘や貸家などを除くと、7万7400戸、全体の14.7%に及ぶ。

子どもの都会への流出で、親の世代が取り残され高齢化

その後、数年で、7軒に1軒が空き家という可能性が高い。昭和38年から半世紀を経て、世帯数が2倍以上に増加。一方で、空き家は10倍となっている。別荘の多い長野県では、バブル期に建てられ都会の居住者によって買い求められた別荘が空き家となって、買い手がつかず、点在する地域も少なくない。

高度経済成長とともに、長野市や松本市などの都市周辺での団地造成と、住宅建設が相次いだ。しかし一方で、少子化が加速し、東京などの都市への進学率が上昇し、若者が都会へ流出した。

中山間地では、放置される空き家や、荒れ地が深刻化

 

特に中山間地は深刻で、長野市の28年度の調査では、中心部に比べ、中条、大岡をはじめ、鬼無里、戸隠、信州新町に続いて、比較的中心部に近い、芋井、七二会、信更、小田切などの地域も深刻な状態となっている。

年老いた夫婦だけが世帯に取り残されることとなり、やがて、亡くなったり、施設に入ると空き家となってしまう。持ち主は都会にいるため、近隣の畑や水田も含め、放置されたまま、なかなか手が入らないという実態がある。

 

 

まちづくりの活用へ国や地方自治体が補助へ

国土交通省は2018年度から、一戸建て住宅が並ぶタイプの団地にある空き家を老人ホームや保育所などに転用すれば、国と自治体が3分の2を補助する制度が発表された。

県内では、戦後造成された郊外型の団地も多く、耐震補強などのリフォームをしたうえで、NPOが地域の実情に合わせたまちづくりへの活用が期待されている。

(執筆:寺澤順子)

ナガクルは国連が提唱する「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)に賛同しています。この記事は下記のゴールにつながっています。

 

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