ジェンダーギャップ経済面で41位の長野県ってどうなの? 女性がモヤモヤを共有

「多様性が言われてから、男女共同参画が見えなくなっている」
「いつになったら選択式夫婦別姓が実現するのか?」
「男性が創ってきた社会構造や組織体制に、女性参画するにはそもそも無理がある」
「女性の上司が圧倒的に少ない、だが女性管理職の先駆者にはプレッシャーが大きすぎる」
「地域の役員になると、女性目線・子育て目線、を強要される」

これらは、2023年9月3日、「第2回 女(おんな)しょ会議」のグループ討議で出てきた代表的な意見です。主催は「3.8国際女性デー長野プロジェクト(発起人:岩崎恵子さん)」と、市民協働サポートセンターまんまる。

働く女性11人が長野市もんぜんぷら座で2時間ほど、講師から現状を学んだあと、2グループに分かれ、ジェンダーギャップを主とし、女性が日頃感じるモヤモヤについて、意見交換しました。

ジェンダーギャップを復習・・・日本は146カ国中125位

冒頭に、ジェンダーギャップの現状を含め、第1回女(おんな)しょ会議(3月8日開催・34人参加)の振り返りをしました。

ジェンダーギャップは、SDGsでも最も目標達成に遅れている分野として指摘されており、日本での男女格差は解消が遅れています。世界経済フォーラム発表では、2023年のジェンダーギャップ指数は、146カ国中125位。先進国とは思えないほど、他国に比較しても劣っています。

内閣府ホームページ「男女共同参画局」

地域から男女平等研究会の特設ページによると、長野県のジェンダーギャップの経済面で特に全国で41位と遅れをとっています。特に男女間の正社員自体の男女比とその賃金格差、企業や法人の管理職・社長数の男女比が課題となっています。

厚労省の発表では、関東甲信地方では長野県は、特に40代以降、女性の就業率が高いとあります。働く女性は多くても、職場で女性が働きやすい環境はまだまだ整っていないということがうかがえます。

地域から男女平等研究会の特設ページ都道府県版ジェンダー・ギャップ指数 長野県はこちら

県内320人の独自のアンケート実施結果/ジェンダーどう思う?

主催の「3.8国際女性デー長野プロジェクト」では、2023年2月23日から3月26日まで、「ジェンダーどう思う?」というタイトルで、長野県内在住の市民に街頭やイベント会場などで独自にアンケートを実施し、320件(男性28%・女性70%)の回答を得ました。その結果が今回の会議で初めて発表されました。

それによると、96%が「男は仕事、女は家庭」という考えはないと答えています。また、複数回答で「男女平等だと感じるのはどこか?」については、学校がトップで106票、続いて家庭で86票、職場は48票、社会通念慣習等が14票、社会全体が12票でした。

一方で「不平等だと感じるのはどこか?」に対する回答では、職場が191票、社会通念慣習等が177票、社会全体が164票、家庭が121票、学校は48票。

実際に職場で多くの市民が男女の格差を感じていることがわかります。また、地域や社会で生きていく上でも多くが不平等を感じていることがわかりました。自由解答では「平等を感じたことはない」という回答が目立ちました。詳しい内容は、今後整理して発表予定とのことでした。→3.8国際女性デー長野プロジェクト

長野市の男女共同参画の視点から/講師:畑順子さん(市人権・男女共同参画課)

長野市の人権・男女共同参画課の畑さんが講師として、そして個人として、今回の会議に参加。住民自治協議会(長野市内の地域自治の仕組み)での現状と、これまで取り組んできた担当者としての想いも語りました。

この10年で、総会や評議委員会など、住民自治協議会における女性の参画割合は、16.6%でほぼ変わっていないこと。令和8年度にはそれを30%とする目標を立てていること。

そして、地域が長い時間をかけて培ってきた男性を中心とした地域自治の仕組みへの女性参画の難しさについ言及。特に女性自身が役員を強く拒むこと。つまり、男女含めて地域社会全体の意識改革が必要。また、地域では男性が取り決めてきた長になった場合にやらなければならない、雪かきなどの力仕事や食事の準備時間におけるタスクが課題に。

最後に、女性が参画するためにはまず、「女性同士が仲間を作ること」と、女性のための地域活動セミナーを案内しました。

グループ討議では赤裸々な声が!

筆者が参加したグループの冒頭の意見以外の声を紹介します。

「地域で会議に出ていくと、子どもはいないのに『子育て目線で意見ください』と言われる」
「職場で、主婦が当たり前で働いてきた男性の上司世代にとって、部下のライフワークバランスに対する想像力が乏しい」
「そもそも男性が創ってきた社会や組織の仕組みをフラットにしないと、女性は参加する気になれない」
「一般女性で、『主人に聞かないと決められない』というような発言が目立つ」
「長い間、女性が権利を求めて変えてきた努力を今の世代が知らないまま、人権全体に問題がすげ替えられてしまっている」
「世帯主制度の弊害、家父長的な考え方が根底にある」

また、以下のような好意的な意見もありました。

「自分の職場では、上司は男性だが、子育てなどの事情を鑑みて時短勤務も特例で許されたり、『昇進試験を受けてほしい』とも言われているため、挑戦してみたい」

「私たちは一人じゃない!」、ジェンダーを考える機会を

お菓子を持ち寄ってのリラックスした雰囲気での会議。最後には全員が感想をシェアしました。「日頃、自分だけがモヤモヤを抱えていると思っていたが、今日みんなが同じような想いを持っていることがわかり、スッキリした」との意見が目立ちました。

「こうした会議を通じて、運動が起こせたらいい。次のアクションを!」と、主催者の岩崎さんは強調します。第3回女しょ会議は今年度中に開催予定とのことです。