SDGsコラム24 国際女性デーで人権を考える

1985年に日本で生まれた「シルバニアファミリー」のお母さんからエプロンが消えたことを知っていますか。株式会社エポック社がSDGsに向け、小さなウサギたちの人形にジェンダーフリー(性別への偏りを無くすこと)を反映させているのです。

SDGsの達成度ランキングで昨年度は全体の18位、特に日本はゴール5の「ジェンダー平等を実現しよう」の評価が低いのは周知の通りです。具体的には「女性国会議員の数」「男女の賃金差」「家事・子育てなど無賃労働時間の男女差」が課題とされています。

国連が制定している3月8日の「国際女性デー」では、アントニオ・グテーレス事務総長が英語で動画メッセージを発表しました。

国連事務総長の国際女性デーメッセージ(国連広報センターのユーチューブ)


その中で、「世界的にも新型コロナウイルスの大流行で女性の権利が後退している」とし、教育を受ける機会の欠如、医療や介護の現場での女性のただ働き、女性の性被害などを指摘しています。「男性が作ってきた社会を変革するためには立場を交替し、主要なポストに女性が着くこと。そのことで持続可能な社会を築いていかれる」と力強く訴えています。

国際女性デーの歴史は1908年にさかのぼります。米国ニューヨーク市で女性労働者が労働条件の改善にデモを行い、世界各国に広がっていき、その後多くの国で参政権を勝ち取りました。もともとは「国際婦人の日」から始まりました。長野県でも臼田町(現佐久市)出身の丸岡秀子(1903-1990)らが農村女性の地位向上に貢献しました。

いま、「ジェンダーバイアス」という言葉が話題になっています。冒頭で挙げた人形やTVの長寿番組サザエさんの家族ように、母親は家にいてエプロンをし、食事を作って当然という図が描かれきました。社会や家庭では、無意識な偏り「アンコンシャス・バイアス」がかかってしまうのです。

一方で学校教育ではSDGsはもちろん、人権についてしっかり学ぶ時代です。筆者の周りの20代に言わせると、「女性デー」という文言自体にも違和感を覚えるとのこと。性にこだわらず、一人一人が幸せに、自分らしく生きられる社会を当たり前にしなければと思います。そのためには、国連の事務総長が言うように、男性での思考で築き上げてきた社会構造を壊す必要があります。

2022年3月22日長野市民新聞コラム掲載 執筆:寺澤順子(ナガクル編集デスク)