「市民活動SDGsとのつながり」西沢 和宏

「天空の里いもい農場」は、子どもからシニアまでの幅広い世代に「食農体験の場」を提供しているボランティア団体です。2003年に生活協同組合コープながの主催で始まった「いもい野遊び塾」が前身で、活動を引き継いだ有志が14年に立ち上げました。活動のフィールドは、市中心部から15分ほどの場所に位置する芋井広瀬地区の田畑です。

写説 子どもたちと一緒に田植え体

活動は、SDGsの目標7つと照らし合わせながら進めています。といっても、具体的な数字目標を持つのではなく「結果的に持続可能な未来を考えるきっかけとなった」くらい緩やかなものです。

 例えば、長野市きらめき隊との協働や路線バスを活用した企画では、参加者が地域課題を知り、結果としてSDGs11「住み続けられるまちづくりを」につながっています。

野菜栽培に加え、野菜を無駄なく食べる工夫を伝えることは、SDGs12「つくる責任つかう責任」を考えるきっかけに。また、活動中に排出する生ごみをコンポストで堆肥化し、それを活用して野菜を作るなど、「循環」を意識した活動にしています。

日々の活動は農地の遊休化や荒廃を防ぎ、SDGs15「陸の豊かさも守ろう」に貢献。

私たちのリソースと諸団体の得意なことを掛け合わせて工夫しながら楽しく活動することは、SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」に重なります。

新型コロナウイルスの影響で活動を中止とした20年は、運営スタッフのみで遊休農地にしないための活動に取り組みました。21年は、前年に中止した内容を具体化しようとさまざまな工夫を行い、わずか13世帯22人の芋井広瀬地区に650人が集いました。

さらに2022年は、高大生が中山間地域の現状や交通事情を考えるきっかけ作りとバス路線維持への貢献を目的とした取り組みを開始。市内外の高大生が、いもい農場に集い、若者の感覚で地域の現状に向き合っています。

「農業体験」は、野菜の栽培時期が決まっていることから、毎年同じことの繰り返しになりがちです。「前年踏襲」は活動の衰退につながります。参加者が「持続可能な地域を考えるきっかけとなった」と感じる活動になるよう、ボランティア団体の身の丈に合った工夫を行い、取り組みを進めていきます。

執筆: 天空の里 いもい農場  運営事務局
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2022年8月20日掲載