SDGsコラム25 中小企業にも義務化「パワハラ防止措置」

2022年4月1日から、中小企業に対する職場の「パワーハラスメント防止措置」が、義務化されました。2020年6月1日に改正された「改正労働施策総合推進法」が施行されたのです。

パワーハラスメントとは次の三つを全て満たす行為を言うと厚生労働省ではしています。

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業関環境が害されるもの

 また、具体的な言動について6つの類型と事例を表にして示しています。(図参照)

厚生労働省がホームページで掲示するパワハラの事例


パワハラを行わないための事業方針の明確化や啓発、相談できる環境整備、起きてしまったときの迅速な対処やプライバシー保護なども示されています。また、自ら雇用する社員にとどまらず、求職者や実習生、フリーランスなど外注先に対しても同様の方針を示さなければならないという厳しいものです。

これとは別に、4月1日から、男性の育児休暇制度や雇用環境整備、以降確認の義務化も段階的に施行されます。

2022年のSDGs進捗レポートがグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンから2月に発表されました。同ネットワークは国連歴代事務総長が代表を務める国連グローバルコンパクトのローカルネットワークで、現在国内で475の企業や団体が加盟しています。

それらへのアンケート調査を基礎にしたレポートでは、従業員の8割にSDGsが認知浸透しているが、達成のための行動については不十分であると分析しています。特に「ジェンダー平等」「はたらきがい・人権」「腐敗防止」の取り組みには課題がみられ改善が求められています。

同レポートの中では、コロナウイルスのパンデミックにより、世界では2020年だけで2億5500万人の雇用が失われている、SDGsの進展に大きな影響を及ぼしているとしています。

多くの職場では、働き方改革を余儀なくされ、経営者たちは既存のやり方を見直し、方向転換をせざるを得ない状況。一方で人材不足も深刻で、特に地方の中小企業にとっては苦難の連続です。

今回の法改正をプラスに捕らえ、気持ちよく働ける職場づくりを率先して実現し、SDGsへの取り組みの一部として発信することが、得策になるのではと期待します。

2022年4月26日長野市民新聞コラム掲載 執筆:寺澤順子(ナガクル編集デスク)