CAPながのって? 子どもの人権を守るワークショップ、長野県で7万8千人が体験。

人権教育プログラム「CAP」は、あらゆる暴力から子どもを守るために学びを深める

「CAP」(キャップ)は、「Child Assault Prevention」(子どもへの暴力防止)の頭文字で、いじめ、痴漢、誘拐、虐待、性暴力など、あらゆる暴力から子どもを守るための人権教育プログラム。1978年にアメリカ・オハイオ州のレイプ救済センターで生まれ、1985年に日本で紹介されました。1998年にCAPトレーニングセンター「CAPセンター・JAPAN」が設立され、2009年に国内二つ目のCAPトレーニングセンター「J-CAPTA(ジェイキャプタ)」ができ、長野県を含む日本の北部エリアを担当しています。

J-CAPTAは子どもへの暴力防止スペシャリストの育成、子どもの人権、暴力や虐待防止のためのアクションなどの活動を行っています。

現在、世界で16カ国、日本国内では100以上のグループがCAPの活動をしています。今年8月には、長野県で初めてJ-CAPTAの定時総会が開かれ、20団体が参加しました。

CAPながのでは7万8000人がワークショップを体験

長野県で活動する「NPO法人子ども・人権・エンパワメント CAPながの」は、2001年に設立。

メンバーは、教員、学童保育の支援員、行政職員、児童福祉関係者、塾講師など、子どもの支援に関わっている人が多いといいます。

全県で「おとなワークショップ」「子どもワークショップ」を行っており、2021年度は小中学校、高校、児童養護施設などで、計272ワークショップ実施。

CAPながののワークショップ参加者延べ人数は、これまでで「おとな」「こども」合わせて7万8000人を超えているそうです。 8月に長野市勤労者女性会館しなのきで開かれた「CAP公開おとなワークショップ」に、私も参加しました。

CAPおとなワークショップ

子どもを守るために、おとなとしてできることを考える

おとなワークショップは、子どもをとりまくさまざまな暴力について学び、考えます。

  <内容>

  • CAPへの理解
  • 子どもワークショップの体験
  • おとなとしてできることを考える

ワークショップは、養成講座を修了したCAPスペシャリストがスタッフとして実施。

暴力は人の心と体を傷つけることで、人権侵害は不均衡な力関係の中で起きるということや、なぜ子どもは暴力に遭いやすいのかを、ワークショップ形式で、お互いに話し合い、学びを深めます。

子どもワークショップの体験では、子どもが暴力に遭いそうな具体的な場面を、スタッフが劇で見せ、子どもの気持ちや、安心・自信・自由の権利があったかどうか、子ども自身ができることを考えていきます。

子どもを怖がらせないように、どこからが劇でどこからが現実かをはっきり示すために、拍手で切り替えるそうです。自分の人権が脅かされ、不安なバージョンと、自分の権利を守る行動がとれたときのバージョンの二つの劇を行いますが、必ず良い終わり方で締めくくります。

かばんを無理やり持たされる場面

「いやだ」「逃げる」「相談」のスキルを子どもちに!

暴力に遭いそうになったときに、自分の権利を守る大切なスキル―それが「いやだ」「逃げる」「相談」

「安心」「自身」「自由」の三つの大切な権利が奪われたとき。たとえば嫌なことをされて怖い思いをしたときに、もしも「誰にも言っちゃダメだよ」と言われたとしても、安心できない秘密は守らなくていい。

自分が困っていることを誰かに言うのは、「告げ口」ではなく「相談」。自分の権利を守ること。逃げていいし、他の信頼できるおとなに相談できるのだということを学ぶことができます。

逆に、私たちおとなができることは、子どもから相談されたときに一生懸命聴いて、共感すること。話を聴き、受け止め、共感することで、子どもは落ち着き安心します。

おとなが子どもの人権を守るには・・・

聴き手は専門家だけでなくて良いこと、身近なおとなが子どもの話を否定しない、軽んじない、あたたかく受け止めることが大事だということをワークショップで共有することができました。

人権意識を子ども自身が持つことはもちろんですが、おとなが子どもの人権を守ることが大切です。

CAPを知ることで、子ども自身が体と心を守り、乗り越える力につながっていきます。そして、地域のおとなとして、身近な子どもが困ったことに直面し相談してくれたとき、それを大事にできる人間でありたいと思いました。

CAPながのは、県内各地でCAPプログラムを実施しています。ワークショップを依頼したい場合はCAPながの事務局に問い合わせを。

NPO法人子ども・人権・エンパワメント CAPながの
事務局 capnagano@gmail.com
電話 090-5782-0263