仲間と私の挑戦「あんずカフェ」和田亨

私が理事長を務めるNPO法人地球環境フォーラム長野は、「地球環境」と「食」をテーマに活動をしている。

2022年3月からは松代町東条で古民家を改修した「あんずカフェ」の管理運営も行うこととなった。私にとっては、高いハードルで無理難題。何とかスタートはしたものの、あんず祭りの期間を乗り越えるのが精一杯で、その先の見通しは全くなかった。しかし、NPOメンバーの力の結集により、気づけばオープンから丸1年を迎えようとしている。

多くの人や団体の交流が生まれている「あんずカフェ」

先日、カフェのスタッフから「和田さんはなぜNPOを立ち上げたのか」と聞かれ、「またゆっくり話しましょう」とお茶を濁してしまった。NPOがスタートして11年の間、さまざまな活動に取り組み、多数のイベントを開催してきた。この原点や原動力について、改めて振り返ってみたい。

私の人生は後悔が多く、家族にも迷惑ばかりかけてきた。いろいろ挑戦はしたが、何ひとつ成し遂げることがなかった。そんな自分がNPOをスタートできたのは、「子どもたちに食の大切さを伝えると同時に、素晴らしい地球環境を残したい」という私の想いに寄り添ってくれる仲間がいたからだ。仲間の言葉に「自分にも何かできることがあるかもしれない」と勇気をもらった。途中分裂し、スタート時の仲間と別れる場面もあったが、そんな時でも「一緒にやりましょう!」と励ましてくれる仲間がいた。 

私も仲間も、利益にならないことに全力投球する。他人から見れば変人にしか見えないだろう。普通は自分と家族、仕事のことで精一杯。しかし、生きていることは、何かお役を頂いているということ。そのお役とは、「次世代を担う子ども達のために何を残せるのか、どう生きるのか」ということだと思っている。自分の人生は後悔ばかりだが、生まれてきた子ども達にはもっと良い人生を送ってもらいたい。そのために少しでもお役を果たしたい。そんな思いで取り組んでいる。

あんずカフェでは、毎月「食」をテーマにしたイベントを開催している。カフェ運営を継続することで松代町の活性化に貢献し、ここを拠点に食の大切さを伝えていきたい。仲間と共に私の挑戦は続く。

執筆: NPO法人地球環境フォーラム長野・理事長
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2023年2月18日掲載