「来て!見て!知って!こども食堂のこと」町田千恵子

平成28年1月19日、長野県で初のこども食堂として「信州こども食堂」が産声を上げました。

信州こども食堂の運営主体であるNPOホットライン信州では、生活や心に不安を抱えた方々からのSOSを受け止めるための無料電話相談を実施していました。そこでは、「生活が苦しい」「孤独」との声を聞く機会が多くありました。

2022年実施した夏祭りの様子


そんな中、子どもの貧困問題が話題になり始めました。日本の0歳から18歳未満の子どもの6人に1人が貧困状態にあるとの報道を耳にし、その数字にショックを受けた我々相談員は、仲間の提案で当時スポットが当たり始めていた子ども食堂をやろうと、「信州こども食堂」を立ち上げることとなりました。1回目の開催は7年前のことです。

今でこそ子ども食堂がどんな取り組みなのか知っている人は多くなりましたが、当時は全くと言って良いほど認知度の低い活動だったと思います。実際に始めた我々でさえ、報道で語られる子ども食堂のイメージだけで見切り発車した活動でしたので、すぐに山ほどの課題にぶち当たることとなりました。ボランティアさんは我々と同じように子どもの貧困率に驚き、問題意識をもった方々が大勢集まってくださいました。しかし、肝心の子どもたちが来ないのです。

冷静になって考えたら、「そりゃそうですよね」と。世間では「子ども食堂=貧困対策」という構図なわけですから、そうそう来られるわけがありません。家庭の問題は本当にデリケートで親しい人にすら相談するのを躊躇するのが当たり前です。なぜそんなことに気が付かなかったのかと猛烈に反省し、すぐさま方向転換をしました。

信州こども食堂は誰が来てもいい場所です!特別でもなんでもない日常に普通にある居場所です。住んでいる場所も年齢も学校も違うみんなが集まっておいしいものを食べて少し気持ちも軽くなって、両手いっぱいのお土産を持って帰っていく。そんな場所であり続けたいと願って、これからも活動を続けていきます。ぜひ一度お越しください。

毎月第3土曜日の11時から14時に、市ふれあい福祉センターで開催しています。
問合せTELフリーダイヤル0120・914・9944

執筆: 信州こども食堂・代表
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2023年3月18日掲載