「親の役割 ブルースカイの役割」松田恵子

「子どもたちを道づれに死ななくて良かった」。この思いが、30年以上活動を続けるエネルギーになっています。私はたまたま親の会に出会い、救われました。

30年以上前、私の子どもは学校に行かれなくなりました。そのなかで高まっていったのが「学校に行かないことで誰かに迷惑をかけているわけではないのに、なぜこんなに苦しまなければならないのか?」という疑問。

親の会に行き、みんなで泣きながら思いを吐き出す作業をするなかで、世間の価値観に心が縛られていることがわかってきました。親の会では、その価値観をいったん横に置くという作業を一人一人のペースでやるのです。全部置けたとき、肩の荷が下りて、子どもの気持ちに寄り添える親になっています。

周りがいろいろ言っても、その人が子どもの成長を見守り続けてくれることはなく、それができるのはやはり親なのです。その親、特に母親が孤立していると子どもに寄り添えません。だから、私たちは親に元気になってもらえる「親の会」を大切にしています。ある子が「お母さんが親の会に行ってくるとお部屋の中が温かくなるんだよ」と教えてくれました。

2017年に教育機会確保法が施行され、長野市教育委員会とも連携して不登校の子どもたちに多様な支援をしていく流れができました。今までの不登校支援は学校復帰が中心で、学校に行かれない子どもたちは置き去りでした。今はコロナ禍によって分散登校やオンライン学習などができるのに、なぜ当時、不登校に対してもそういう支援ができなかったのか悔やまれます。

本来、人はみな「学びたい」という気持ちをもっています。大人が世話を焼かなくても、不安やつらさが癒やされれば「何かやりたい」という気持ちが湧いてくることを30年間の活動のなかで私自身が学びました。

みんなで集まる活動のほか、毎月会報を発行しています

ブルースカイの役割は、とにかくゆったり、まったり安心していられる居場所を創ることです。そこにいるスタッフもそれを見守ることを大切にしています。「そんなのんびりしていていいのか?」と疑問をもつ人もいますが、そのゆったり、まったりがないと次に進めない人もいるのです。ブルースカイは私自身の大切な居場所でもあります。

執筆: 松田恵子/ブルースカイ(登校拒否を考える親と子の会)代表
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2021年4月16日掲載