SDGsコラム33 チャイルドラインが必要不可欠に

「社会の疲弊による子どもたちへの影響が如実に現れている」と話すのは、長野県チャイルドライン推進協議会(事務局/NPO法人すわ子ども文化ステーション)関係者。

左がNPO法人すわ子ども文化ステーション代表理事でチャイルドラインすわ代表・長野県チャイルドライン推進協議会事務局の宮澤節子さん、右がチャイルドラインすわ運営委員長の宮野孝樹さん。

18歳までの子どもが悩んだ時やさびしい時に、いつでも電話やチャットができる無料サービスで、全国68カ所が地域で担当し、子どもたちへの傾聴に当たっている。県内では4カ所でNPOが運営し、受け手ボランティアも養成。市内ではNPO法人こどもの城いきいきプロジェクトが母体となり、2004年から「チャイルドラインながの」として活動を進めてきた。

「チャイルドライン」は全国どこからでも、毎日夕方4時から9時まで無料電話で話せるサービス。それに加え、スマホやパソコンからオンラインでチャットができたり、自分の気持ちをつぶやいたりできる仕組みも始まっている。

「2022チャイルドライン年次報告書」の中のどんわをかけてくる子どもたちの動機

その反響は大きく、「2022チャイルドライン年次報告書」では、全国で着信数が17万件で、その内4・7万件あまりで子どもとの会話が成立。

その80%が「話を聴いてほしい」という動機で、半数が自分自身についての悩みだ。オンラインのチャットは12万件に及ぶ結果となった。


文科省によると小中高の21年度のいじめ件数は約61・5万件で前年度から約10万件増加。小中学校の不登校者数は24・5万人にのぼり、前年から5万人余増えている。

「学校の先生は一人一人の子どもの気持ちを丁寧に聴く時間が少ない上に、経済的困窮が押し寄せる子育て世代の家庭でも、子どもを丁寧に育てる余裕が削がれている」とチャイルドライン関係者。子どもたちを取り巻く環境がますます深刻化し「コロナ禍ではグループで遊ぶ時間も制限され、友達関係がつくれない。困ったとき相談に乗ってくれる大人もいない」という実態を活動を通して肌で感じるという。

「不登校新聞」の編集長である石井志昂さん執筆の12月16日付の東洋経済オンライン記事では、「子どもは私たち大人が思っているよりもっと大人のことをよく見ていて、できるだけ私たちを悲しませないようにしようと、けなげにふるまう」と指摘し、外から子どもの苦しみは見えにくいと訴えている。

チャイルドラインが必要不可欠に

その点から見てもも、チャイルドラインは、私たち地域の大人が子どもたちの心を支えるまさに「頼みの綱」だ。

チャイルドラインへオンラインの寄付ができます。2023年3月末まで

2022年12月27日長野市民新聞コラム掲載 執筆:寺澤順子(ナガクル編集デスク)