SDGsコラム32 高齢化世界一の信州で、介護職員不足の危機

県社会福祉会は「地域共生社会」を目指し、2022年11月12日、須坂市メセナホールをメーン会場としてオンライン配信もし「ふっころフェスティバル」を開催した。

冒頭のシンポジウムでは、中川村や大鹿村での地域づくりの事例発表があった。農業と福祉の連携や、カフェのオープンなど、いずれも働く世代の移住促進のランドマーク的事業だ。こうした努力があって両村の人口が少しずつ増加しているというのだ。

後半のシンポジウムでは、介護職員育成や増加のための「ケアコン(長野県介護技術コンテスト)」を題材として、介護の仕事の魅力発信について語り合った。ファシリテーターは長野県出身でモデルとして活躍しながら介護現場で勤務する上条百里奈さん。

ケアコンは今年3回目で、福祉施設の介護職員や学生がスマートフォンで現場の動画を作成して応募するというもの。全50作品の応募があった。特注目なのは今年からスタートしたエピソード部門。ハーモニー福祉会の最優秀賞作品では、山登りがしたい当事者の願いをかなえる奮闘のドラマを描いたもの。デーサービスで出会ったお年寄りに心救われた豊野高等専修学校の学生が「人は支えあうもの」という一節が印象的だった。筆者も全作品を視聴したが、泣いたり笑ったり…人生そのものを考えさせられるストーリーばかり。

県知事賞受賞作品


国の統計では65歳以上の人口は3,627万人で、その割合は32.8%となっている。日本は世界でもっとも高齢化が進んでいる国だ。

県では第8期高齢者プランを発表。団塊世代の人口層の影響もあり、2025年には人口が200万人を切り、内要介護認定者が12・1万人に達すると予測。40年には人口170・5万人に激減。一方要介護認定者は14.5万人に膨れ上がると予想。高齢者のみの世帯は25万軒となる。

介護人材数は19年で3万7783人。しかし25年には約4万人、40年には5万人を要するという予測も。介護人材の不足解消が緊急の課題だ。

筆者も昨年より高齢の両親と同居を始めた。市内で最も高齢化率の低い高田地域にあっても、近所を見回すと8割以上の古い一戸建ての前に福祉施設の車を見かける。筆者の父も現在介護施設に入所中。「こんにちは!」と、毎日明るく迎えてくれる介護職員の働きぶりに、毎日頭が下がる思いだ。

2022年11月22日長野市民新聞コラム掲載 執筆:寺澤順子(ナガクル編集デスク)