新型コロナウイルスの感染拡大は終息せず、8月18日現在で、報道では世界で死亡者が77万4千人、国内では1118人となっている。「病床が不足するのではないか。高齢者や持病を持つ人がかかったら」と考えると気が気ではない毎日が続いている。
その他の感染症を見てみると「インフルエンザ」による死亡数は毎年平均約1万人。世界では25〜50万人と言われている。また「結核」では、2016年には世界で170万人が死亡している。その内HIV感染者40万人を含む。エイズによる死亡者は2018年で77万人。HIVと結核の複合による東南アジア・アフリカでの14歳以下の死亡者が大きな課題とされている。実は、日本でも2018年2200人が結核で死亡しているのだ。
SDGsのゴール3では「あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を保障し、福祉を推進する」としている。
ウイルス感染を防ぐことはもちろん、それを見つけ出し、適切に隔離し治療する国家的医療システムの確立が大事となっている。日本では「国民健康保険」や「社会保険」があって当たり前で、たとえ重病にかかろうと誰でも治療を受けられるという安心感がある。
世界では財政リスクからの保護や、質の高い医療サービスへのアクセス、医薬品やワクチンへのアクセスができない国や地域がある。こうした手当てをユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と呼び、様々な感染症の死亡率が高いほど安全が保障されていない国に当てはまるという現実がある。
2017年12月に日本政府がWHOや世界銀行と共催した「UHCフォーラム2017」では、厚生労働大臣が、日本がイニシアチブをとり、2030年までに全世界でUHCを達成できるように、情報共有を促進し、世界の健康に大きく貢献すると発言した。
コロナウイルスという目の前の課題を解決した各国の経験を集めれば、世界全体を救うことにつながる。広い視野を持ち、感染症予防や医療体制について考える機会としたい。
文責:ナガクル編集デスク・フリーライター寺澤順子 長野市民新聞 SDGsコラム「地域を救え! 地球を救え! SDGs達成への挑戦」2020年8月25日掲載