若い起業家を応援! Startup Weekend軽井沢

週末を活用してアイディアを形にする起業体験イベント「Startup Weekend軽井沢」が、2023年10月6日(金)~8日(日)の3日間、長野県軽井沢町にあるインターナショナル・スクールUWC ISAKジャパンを会場に開催された。

「起業家を育てる場」として15年前にアメリカで誕生

Startup Weekendは、「起業家を育てる場」として15年前にアメリカで誕生したプログラム。
これまでに全世界1,800の都市で7,000回以上開催され、5万以上の新規事業が誕生している。

2019年に軽井沢で第1回目を開催、第2回目の開催を2020年に予定していたものの、コロナ禍で延期を重ね、2023年に改めて開催することとなった。

イベントには、全国から中学生から社会人までの約70人が参加。

初日の夜、アイディアを発表するピッチから始まり、アイディアに共感したメンバーと共にチームを組み、最終日の夕方までにビジネスプランを練って具体化していく。

最終日となる3日目、会場には審査員をはじめ関係者が集まり、参加者の最終プレゼンテーションを見守った。

審査の基準は、「validation:検証」、「Execution and design:実践とデザイン」「Business model:ビジネスモデル」の3点。
アンケートやインタビューを通じて生の声が集められているか?
顧客となる層から実際にフィードバックをもらって改善されているか? 
競合相手との差別化、顧客の獲得戦略が検討されているか? 等の点で審査され、参加9チームから上位3位を決める。

審査員は、株式会社CAMPFIRE代表取締役の家入一真さん、フロネシス・パートナーズ代表取締役の白石智哉さん、ディップ株式会社代表取締役COOの志立正嗣さんの3名が務めた。

(左から審査員の家入さん、白石さん、志立さん)

課題を解決したいという想いをクリアに

9つのグループが順番に自分たちのアイディアを5分間でプレゼンしていく。
事業アイディアは、「匂いの好みでAIが相手を探すマッチングサービス」や「自分の内面を表すプロフィールを使った新しいSNS(ソーシャルネットワークサービス)」など多岐に渡る。

プレゼン終了後は、審査員から「もっと顧客層を具体的に絞り込んだ方が良いのでは?」「なぜこの分野にあなたたちが取組むのか?」など、厳しい質問が次々に問いかけられる。

審査の結果、最優秀賞に選ばれたのは「KODAIFU.CO」チーム。古代から続く織物、古代布の生産者に電話で何に困っているかをインタビューし、布の織り手がいないことよりも糸を作れる人がいないことが課題であることを突き止めた。

選定の理由に、志立氏は「この課題を解決したいという想いが一番ストレートに出ていた。なぜあなたたちがこの課題を解決できるのか?という審査員の質問に、『(昔から古代布のことが大好きな)私がいるからです!』と即答した。あの一言にすべてがこもっていたと思う。その想いがあるから仲間が集まり、今までできなかったことができる。それがスタートアップの醍醐味。その第一歩を踏み出そうとしているプレゼンだった」と語った。

審査員の志立氏から賞状が贈られた。後日賞金20万円も贈呈される。

参加した人たちは、「このプログラムに参加するために、学校を休んだり、申し込んでいた英検の試験を休んだり、いくつもハードルがあった。自分の想いをぶつけて、それを真剣に受け止めてくれる仲間に会うことは難しい。(仲間と出会えて)参加してよかった」「起業は特殊なものだと思っていたが、自分の信念をしっかりもってやっていくことを学んだ。Startup Weekendをぜひ自分の学校でも開催したいと思った」など感想を語った。

想いがあればアクションは起こせる

主催者のひとりであるUWC ISAKジャパン高校生の灘田暖さんは、「ISAKでアクションを起こしている人が少ない。ISAKが持つ可能性を最大化することが、今の自分ができる社会貢献だと思った。また、人生の豊かさとは英語を喋れること、海外に出ることだけではない。もっと日本を盛り上げたい」と、開催に至った想いを語った。

学生であっても、想いがあればアクションは起こせる。
あたらしいなにかをつくり出すことができる。
アイディアをカタチにすることができる。
そして、想いを自分の言葉で人に伝えることができれば、仲間が集まる。
起業を考え、はじめることができる。
そんな熱量と期待を感じさせる時間だった。

若者のエネルギーと行動力は、きっと地域や社会の課題解決に取組む大人にも刺激と新しいアイディアを与えてくれるだろう。

文:ソーシャルライター 粟津 知佳子