「ワカモノが地域に出ると何が起きる?」佐久市で報告会

高校生・大学生が地域をフィールドに見立てて、学校の外で新しい仲間・大人たちと出会う「地域まるごとキャンパス」。2018年に長野市で生まれたこの事業、2021年度からは新たに佐久市でも展開しています(主催:佐久市、運営主体:長野県NPOセンター、事務局:佐久市市民活動サポートセンター)。

2021年8月~12月にかけて、延べ78名の学生が10種のプログラムに参加。多世代交流うんどう会などのイベント企画や、空き店舗を活用した駅の活性化、企業と連携しSDGsへつながる商品企画提案など、様々な活動に挑戦しました。

2022年2月6日には初めて「佐久平高大生応援フェス」がオンライン開催され、学生からシニアまで佐久市内外から総勢100名が参加しました。第1部は佐久平地域まるごとキャンパスの報告会、第2部は「ワカモノが地域に出ると何が起きる?」をテーマにトークセッションが行われました。

(感染状況に鑑み、オンライン開催に変更となりました)

学生と市民団体がコラボ。6つのプログラムを発表

第1部の佐久平地域まるごとキャンパスの報告会では、全部で10のプログラムのうち、6つのプログラムを取り上げ、参加した学生からどのような活動をしたか、参加したことでどんな気づきがあったか等の共有がありました。

プログラムのひとつ、「まちづくりラボ~高齢者のつながりと社会参加(受入れ団体:NPO法人うすだ美図)」には、看護学生ら18名が参加。誰とも話さない日が多いという独居高齢者について話し合い、「病気等で外出できない方を訪問し、料理を作り仲良くなり、お祭りを企画したい」という学生の声から「お宅訪問から始まるHRM(H:訪問、R:旅行、M:祭り)ツアー」が企画されました。コロナ禍で実行には至りませんでしたが、学生達は今後実現に向けて挑戦したいと希望し、団体も「斬新なアイデア等学生から学ぶことも多く、今後も一緒に取り組めたら」と、意欲的。臼田在住の学生は「自分のまちについて知らないことが多く、今回、地域の魅力を感じることができた。今後も活動に関わりたい」と話してくれました。

参加した柳田清二市長は学生の報告を聞き、「受入団体側の期待と、参加する側の期待が一致しているケースが多く、想定をしている以上の発展形もあった。経験することによって、職業選択や生き方を探るきっかけになると思う。人と人がつながることで生み出される可能性を感じた」と語りました。

(受入団体のうち、オンライン参加が難しい方には別会場からご参加いただきました)

第2部のトークセッションでは、スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー日本版共同発起人の井上英之さん、Learn by Creation理事の佐々木 巌さん、プログラムに参加した野沢北高校2年生の清水和奏さん、佐久大学看護学部看護学科1年生の牧野内理子さんをゲストに迎え、長野県NPOセンター代表理事の山室秀俊が進行を務めました。

トークセッションゲストの皆さん

行動から出会いへ、出会いから気づきへ

「自分でやってみて動き始めたところに小さなヒントがある。(自分で実際体験してみて)メリットとデメリットの両方がみえた先に、どんな選択肢があるか? そこが新しいアイディアの入り口だと思う」という井上さんの問いに対し、牧野内さんは「デメリットを克服する手段をみつけることが必要で、行動を起こしやすい若い人たちが積極的に動くことが大事だと思う」と話しました。牧野内さんの話に頷きながら、「誰かが最初に思い付いたことを言った時に、それを”良い”、”悪い”と早く言い過ぎなのかもしれない。もうちょっと深みをもって、いろんな可能性を検討できる視点があると良いかもしれない」と井上さん。

東京と佐久の二拠点生活で、佐久の商店街で喫茶店開店に向けて取り組んでいる佐々木巌さんは、「自分がやりたい何かをやる時に、自分ひとりでは何もできない。それを支えてくれる人が地域にいるから、その人たちとつながる。こうした地域の活動に参加することで、自分の外に頼る先や選択肢を広げていけると良い」と、と言葉を添えました。

参加者それぞれの視点からプログラムを振り返り、今後の可能性について思いを巡らせる時間となりました。

佐久平地域まるごとキャンパス各プログラムの詳細は、ホームページをご覧ください。
イベントのアーカイヴ動画はYouTubeでご覧いただけます。

(文:ソーシャルライター/佐久市市民活動サポートセンター コーディネーター 粟津 知佳子)