「学生のNPO活動をその先へ」須磨航

2017年7月に発災した九州北部豪雨。その災害ボランティアを行いながら、活動の際の写真を集めた写真展を通して、被災地の状況やボランティアの活動の様子を発信する活動を始めたのが「被災地を写真でつなぐ実行委員会」。

北九州市内の防災訓練で長野の被災状況を伝えました(2019年11月30日)

災害が発生し、しばらくの間はメディアなどで報道され、被災地の状況が伝えられる。しかし、時間とともにその報道も減少し、被災地の今の様子が伝わらず、風化してしまう。

被災した地域に今何が求められているのか、自分たちに何ができるのか。写真を通して、被災地と人をつなぐとともに、災害救援活動において得た被災地の教訓を伝え、防災について考える親子の研修ツアーや学校・地域での防災教育などの活動も行っている。

19年10月に発災した令和元年東日本台風災害でも、災害ボランティア活動に従事させていただいた。
20年2月からは小布施町に学生災害ボランティア支援拠点を開設し、学生と支援活動を結びつける場として運営。現在は「学生NPO活動協働センター信州ベース」に名を変え、写真洗浄会や防災に関するワークショップ、学生交流の場として開設している。 長野県内の学生や地域の皆さんが一緒に防災を考え、つながる場所を創っていきたい。

これまでの災害救援活動のなかで学生の災害ボランティアの姿は、どの被災地においても見受けられ、多くの学生がそれぞれの得意分野を活かし活動を行っている光景がとても印象的だった。しかし、卒業して、就職・進学するとどうしてもその活動は継続できない。その要因は、学生時代のNPO活動を継続できる機会の減少や働きながらNPO活動を行うことへの理解不足だと考える。

「卒業したら(この地域から)いなくなるのでしょ」学生活動で誰もが悩む言葉であり、学生の弱点を象徴する言葉だ。しかし、学生はこれから向かうそれぞれの地域や各々の専門分野へつなぎ、伝えることのできるメディテーター的な力を秘めている。

コロナ禍の今、他県との行き来は制限され、地域が分断されつつある。だからこそ、全国「へ」支援から、全国「で」支援ができる態勢と、平時からゆるく多職種がつながりを創る基盤を、学生連携を通して築いていきたい。

文責:被災地を写真でつなぐ実行委員会 代表理事 須磨 航(すまわたる)
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2021年6月19日掲載

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