北国街道の柳町、城下町の古い味わいを残した街並みの中でアートイベントが行われた。その名も「ちくわがうらがえる」。
主催したのは柳町に拠点を構える上田市のNPO法人リベルテ。2013年の設立以来、障がいがある人の「居場所」と「はたらく」を支える福祉事業と文化事業を展開している。
11月1日~30日までの1カ月間、本展と、お店で石膏粘土の作品見つけてもらう展覧会などの企画が繰り広げられた。
本展の会場は、今後事業所として改修予定の民家。
展示には最低限の説明文が添えられている。
「できるだけ先入観なく見てほしい。(アトリエに通う)メンバーの目を通して描かれた街の風景の作品展示を見る前と後で、自分の目で見る町の風景がどう変わるか。見る人の状態や、誰と見るかでも受け取り方が異なる。それを楽しんで欲しい」と、企画したリベルテ代表理事の武捨和貴さんは話す。
新型コロナの影響で全く展示ができなくなる可能性も踏まえて考案したというオリジナルトランプの絵柄には、メンバーだけでなくスタッフやスタッフの家族が描いた絵も使われている。裏の絵柄が異なるため、普通のトランプとしては遊べない。でもエースが揃うと現在のリベルテのレギュラーメンバーになったり、ポーカーでスタッフばかりだと一番弱い組合せになってしまったりなど、趣向が凝らされている。
リベルテが掲げるメッセージは、シンプルで、普遍的だ。
「街を歩くその先々で眺める風景や、ふと手にとったペンで描く線や形、または自分の何気なく選んだ今日の服装も、大切な個性や自己決定であり自由です。
わたしたちリベルテは障害のある人たちとともに、そんな『何気ない自由』や『権利』を尊重していける社会や人、関係づくりを行っていきます」(ホームページより)
そのメッセージは、作品展示という形を通して静かに、でも力強く、見るひとに伝わってくる。
展示についてまとめた記録集は3月に発刊予定。
文責: ソーシャルライター 粟津 知佳子