福祉教育は大人に必要なのでは―川崎昭仁さん

新年、明けましておめでとうございます。
怒涛の十連休に浮かれていた頃、新元号「令和」にかわったと思ったらもう年が明けましたね。時の流れが速く感じるのは歳のせいでしょうか(笑)。
そんな一年を振り返ってみると、いろんなことがありました。

私は、様々な障害者の支援を行うNPO法人ヒューマンネットながので、障害者の権利や社会参加の促進に取り組む傍ら、県内の各学校や公民館などで「福祉について」「障害の理解」「人権について」などを自身の障害や体験、時には得意のギター演奏を交え講演を行っています。

災害復興イベント「明日に向かって踏み出す集い」のステージで。1/13長野市北部スポーツ・レクリエーションパークにて


最近では“共生社会”に向けた取り組みが多く「人と人が支え合うにはどうすればよいか」という話をしてくれという要望がよくあります。そんなわかりきったことを…と思いながら話をすると、多くの子どもたちは感覚的にそれをわかっています。川崎 昭仁大人は言動になにかと理由や理屈をつけたがるけれど、気持ちで動くというのはわかりやすいし、説得力があります。だから子どもの行動に心動かされるのでしょう。そう考えると、福祉教育が必要なのは先生をはじめとする大人たちなのかもしれません。


昨年の夏頃、私の関わる福祉団体に、ある小さな村の中学校から、福祉について講義依頼がありました。しかしその校長は「在校生の兄弟に障害者がいる。他の生徒はそのことを知らない。障害という事には触れないで」と要望。障害のある私が同行することも拒否。学校には「そんな歪んだことはできない」と抗議しましたが、別の担当者が学校の要望に応え、配布資料から障害に関わる事をやむなく削除し、講義しました。私は、情報社会のこの時世にまだそんな思想が残っているのかと怒りを通り越し呆れ果てました。20年以上講演活動をしてきて初めてのことでした。


これは稀なケースで「世の中捨てたもんじゃない」と思わせてくれる事がたくさんあります。「みんな同じ人間なんだ」「困った人がいたら助けてあげる」というような事を素直に聞いてくれるし理解してくれます。
今年、いよいよ東京パラリンピックが行われます。スポーツを通じて多様性や共生社会ということをリアルに感じられると思います。私も“音楽”で生きる権利と人生を楽しむことを伝えていきたいと思います。

執筆 NPO法人ヒューマンネットながの 理事 川崎昭仁さん

長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2020年1月18日掲載

ナガクルは国連が提唱する「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)に賛同しています。この記事は下記のゴールにつながっています。