「アルクマ復興珈琲」は、令和元年東日本台風(台風大19号)で被災した、地元長野市を支援する寄付付き商品です。長野市災害ボランティア委員会が企画しました。売り上げの一部が市の義援金と、同委員会の災害支援活動に使われます。

その誕生にはちょっとした物語があります。委員会は、長野市社会福祉協議会をはじめ、市内のNPO5団体が構成団体となり、個々のネットワークを活かして各地で起きる災害の支援をしてきました。

一昨年の西日本豪雨災害の際、ボランティアと物資を現地に送りましたが、長野市にいてもできる支援が見つからず、悶々とするメンバーがいました。そんな中、インターネットで見つけたのが、岡山県倉敷市美観地区にあるkoba coffee販売の岡山県と倉敷市の復興を支援する「桃太郎コーヒー」でした。「これだ!! これを売って被災地を応援しよう」と約1300個を長野市内のイベントなどでメンバーが手売りし、岡山県の被災者や支援者と交流を続けていました。

そして、作年10月12日、台風19号が長野市を襲いました。発災直後、koba coffee店主小林恭一さんから「みなさんご無事ですか? 何かできることはありますか?」とメールが入りました。しかし、委員会は混乱の中でお願いすることは見つかりませんでした。

1カ月が過ぎた11月。再び小林さんからメールが届きます。文面からは、長野から声が掛かれば、すぐにでも同じシステムで、寄付付き珈琲生産が可能な態勢を整えている、との趣旨が読み取れました。これを受け、委員会では「涙が出るほどうれしい。これはぜひ形にしたい」と、アルクマをパッケージに使った「アルクマ復興珈琲」を誕生させたのです。

12月の発売開始から2月末時点で3千個を売り、次々大口の予約が入るほどの人気に。小さな気持ちを支援に換える1杯のコーヒー。パッケージのアルクマは今日も笑顔です。

(執筆 :阿部今日子/長野市災害ボランティア委員会メンバー)

長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2020年3月21日掲載

ナガクルは国連が提唱する「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)に賛同しています。この記事は下記のゴールにつながっています。