地方×複業で「関係人口」を増やす―竹内義晴(しごとのみらい理事長)

人口減少や少子高齢化によって「地域の担い手」が不足しています。この傾向は今後ますます加速します。解決する一つとして「関係人口」という言葉が注目を集めています。移住してきた「定住人口」ではなく、観光に来た「交流人口」でもありません。地域づくりに関わってくれる「地域外のファン」であり「プレイヤー」のこと。関係人口を増やす取り組みは、地域資源を活用したイベントをはじめ様々自治体で始まっています。

イベント「これからの地域と仕事の未来を語ろう」に135人が参加。11月13日上越市で。

関係人口の構築で私が注目しているのが「複業」です。お金を稼ぐために本業の他に仕事をする「副業」ではありません。「本業がいくつもある状態」です。例えば、私は新潟でNPO法人を経営しながら、サイボウズという東京のIT企業で週2日、遠隔で仕事(テレワーク)をしています。地域行事や公民館活動、消防団など、地域を維持する活動にも参加できます。

最近興味があるのは、これを逆にした「都市部の人材が、地方の企業で働く」複業です。仕事を通じた関係人口が増やせるほか「地域に関わる入口」としていいのではと思っています。

例えば、都市部で働く長野出身の方はたくさんいます。「地元のことが好き」「地元に帰りたい」「長野に残した親が心配」「でも、今の生活を投げうっての移住は無理」と考えている方は少なくないでしょう。

もし、このような「長野愛」ある方々が地元の企業で複業し、都市部で身に付けたスキルを還元できたらうれしいでしょう。企業の人材不足にも役立つはずです。

だからといって「都市部の人材と企業をどうつなぐか」「どのように仕事を切り出すか」「テレワークできるか」といった課題がないわけではありません。しかし、岩手県や茨城県をはじめ「地方×複業」の有効性に気づいた自治体は、すでに取り組みをはじめています。

「複業? そんな半端な気持ちではダメだ」と思うかもしれません。でも、ひと昔前は、みんな仕事をしながら米を作っていました。それと同じです。仕事を通じて地元に貢献できる…そんな働き方が広がり、地域が維持できればいいなと思っています。

 

執筆: 特定非営利活動法人しごとのみらい理事長 竹内義晴

長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2018年12月15日掲載

 

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