「作る責任 使う責任」と表記されたゴール12は異色ともいえます。
「持続可能な生産消費経済を確保する」とし、消費者・企業ともに食料の廃棄を半減させることや、大企業が行動を起こし、持続可能な開発や生産法の導入が必要です。
また、消費者も自然と調和したライフスタイルに向け情報収集や意識改革をしていくこと。責任を他者に転嫁するのではなく、自身の意識や行動の変化が求められています。
生産者や販売者は「作る責任」を強く意識し、フェアトレード(公正な貿易)や、児童労働や過剰な科学薬品使用の回避などの労働環境の改善、二酸化炭素排出ゼロを目指した商品の生産など、貧困層の搾取の廃止を目標到達の手段としています。作る責任の生産過程での改善は、環境・人権・まちづくり・貧困など、多分野に及びます。
私たちは、購入する商品がどのようにして作られ流通しているのかなど、商品の背景について情報収集し「使う責任」を果たす目を養う必要があります。もちろん、そうした取り組みをしている企業への投資や商品購入、地域イベントへの参画の呼びかけ、子どもたちの就職先選定の指標の一つにもつながってきます。
外務省のサイトには現在進行中の具体的なSDGsの取り組み事例が掲載されています。中でもジャパンSDGsアワード受賞事例が注目で、県内では「長野SDGsプロジェクト」がSDGsパートナーシップ賞を受賞しました。企業・NPO・自治体が協働したワークショップなどが評価されました。
また現在、県SDGs推進企業の登録が800件に迫っています。企業がSDGs達成を目指して、2030年までの活動目標を掲げ行動をスタートしています。しかし成果はまだこれから、という感触を受けます。
今年4月には「長野県版エシカル消費」特設サイトがオープンしました。エシカル消費とは倫理的消費のこと。環境・人・社会・地域・健康に配慮した消費とし、大学生の取材に基づいた「ここからエシカルMAP」が掲載されています。
更にNPO法人みどりの市民は、エシカル(倫理的)商品の全国的な検索サイト「ぐりちょ」の登録に向けた調査活動を学生とともに行ってきています。私たち一人一人が使う責任を改めて考え、行動してみませんか。
2021年7月26日長野市民新聞コラム掲載 執筆:寺澤順子(ナガクル編集デスク)