真冬に災害が起きて、長時間停電したらどうなるのか…。考えたことありますか。
国連開発計画によると世界では、未だ5人に1人が電力を利用できていません。世界の電力消費量は過去30年で2.3倍に達しており、アジア地域は5倍と伸びています。世界で全ての人が、電力にアクセスすれば、必然的に消費量は増えていきます。
一方で、日本は一人当たりの電力消費量はカナダ、米国、韓国に続いて第3位。災害も増える中で、電力に頼った日常生活をどう変化させたらいいのでしょうか。
気候変動を防ぐためにも、まず消費電力を減らすことが求められます。今年3月に発表した県の環境エネルギー戦略でも、電力を2030年までに25%、50年までに45%削減目標を立てています。
一方で、石油などの固形燃料に頼らない、自然エネルギーの活用を劇的に高めることも必要です。太陽光発電を核として、小水力発電、バイオマス発電を組合せ、30年には電力自給率を全体の20%に近づけること。既存の水力発電と併せ、電力をまかなおうというものです。
県では「持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会」を基本目標としています。家庭生活では太陽光場ネルの設置、蓄電できる車や設備の開発普及、ペレットストーブなどの活用をイメージ。地域社会では「エネルギー自立地域」として、自然エネルギーを使った観光地や建物、徒歩や自転車でのまちづくりを想定しています。
エネルギーの自給を考えたとき、水資源が豊富で落差の大きい河川を活用した小水力発電にも注目です。地域住民や企業などが協働して、小規模な発電所をつくることで、その収益を地域に生かす仕組みづくりが期待されています。
災害に強いまちづくりを推進するNPO法人長野県NPOセンター山室秀俊事務局長によると「住民の力で、小水力や太陽光で発電し蓄電できる施設をつくれば、災害時の電力の確保も可能。電気自動車が普及すれば、買い物の足となる交通の代替燃料に。売電すれば地域運営の資金に。地区で検討してみては」と話します。資源を生かした持続可能な地域づくりの解決策にもなり得るのではないでしょうか。
文責:ナガクル編集デスク・フリーライター寺澤順子 長野市民新聞 SDGsコラム「地域を救え! 地球を救え! SDGs達成への挑戦」2020年12月22日掲載