SDGsコラム6:誰一人取り残さない教育を目指す

「インクルージョン(包摂)」という言葉を聞いたことがありますか。社会的に弱い立場の人を含め、地域社会の一員として取り込み、市民一人一人が参加し活躍できる社会のことを「包摂的な社会」といい、SDGs全体の考え方の土台でもあります。SDGs目標4には「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を保障し、生涯学習の機会を促進する」と書かれています。

SDGs目標4には「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を保障し、生涯学習の機会を促進する」

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が発表した「グローバル教育モニタリングレポート2020」では、「インクルージョン(包摂)と教育—すべての人とは誰一人取り残さないことー」をテーマに、SDGs目標4達成の進捗状況をホームページで発表しています。

序文では新型コロナウイルス感染拡大により、世界全体で5人に1人のこども・青少年・若者が教育から排除されてきた。更に世界人口の90%以上が学校閉鎖から影響を受け、教育の歴史上前例のない断絶の渦中にあると訴えています。


2018年の統計では、世界で小学校に通っていない子どもは5914万人(8%)おり、その内サハラ以南アフリカが3221万人(19%)とワーストとなっています。

レポートは初等教育・中等教育、乳幼児、高等教育以上の成人教育、職業スキル、公平性、識字率などを分析。また教育施設や学習環境の改善の必要性も指摘し、教員の研修、人員配置、体罰の禁止、施設の衛生面整備、通える市に学校があることや、通学時の交通事故防止など課題を挙げています。

タイの少数民族の小学校の様子

特に教育におけるジェンダー格差をなくし、障がい者が平等に教育にアクセスできることも重点としています。

15年前に開催されたスペシャルオリンピックスの交流パーティーで、筆者が出合ったハンガリーの知的障がい児の英会話能力が、明らかに我々日本人の大人の語学力より勝っていたことが強く印象に残っています。

我々日本人は大学進学率を高めることに注目しがちです。しかし、誰もが自分の能力を発揮し活躍できる包摂的な社会を作るために、必要な教育とはなにか、その環境整備をグローバルな視点で考える必要があります。

文責:ナガクル編集デスク・フリーライター寺澤順子 長野市民新聞 SDGsコラム「地域を救え! 地球を救え! SDGs達成への挑戦」2020年9月22日掲載