SDGsの「持続可能な開発のためのアジェンダ」の前文では「人間」がキーワードの一つとなっています。
昨年10月に亡くなった元国連難民高等弁務官、緒方貞子さんは「人間の安全保障」を強く訴えてきました。国連広報センターのホームページで、国家は「恐怖からの自由」「欠乏からの自由」を保障できていなかったとの緒方さんの講和が紹介されています。
SDGsでは「我々は、あらゆる形態及び側面において貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人間が尊厳と平等の下に、そして健康な環境の下に、その持てる潜在能力を発揮すること」とうたっています。SDGsの「目標1」では「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」としています。
貧困といえばユニセフ(国際連合児童基金)が訴えるような、アフリカの難民キャンプでの食料不足による子どもたちの姿をイメージする人も多いと思います。そうした貧困を「絶対的貧困」と呼んでおり、世界銀行によると2015年までは「一日1・25ドルで暮らす人々」とし、1990年には世界で18億9500万人だったものが、2015年には7億3600万人に減少しました。そして新たに2015年より、一日1・90ドル(約200円)未満で生活する人々を「絶対的貧困」とし、その率は世界全体で10パーセントとされています。
一方で、日本など先進国で指標とされるのが「相対的貧困」です。2015年に厚生労働省が実施した国民生活調査のデータでは、こどもの貧困率は2015年時点で13・9、7人に1人と発子表されています。つまり、ひとり親家庭がベースとなることが多く、私たちの身の回りにも見えないところで、学校の行事や医療機関に通えない子どもがいることを忘れてはなりません。SDGsで「各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての男性、女性、子どもの割合を半減させる」と目標を定めています。
更に「気候変動に関連する…(略)…災害への被爆や脆弱(ぜいじゃく)性を軽減する」とも明記されています。我々は今、災害支援でもSDGsが掲げる「だれ一人取り残してはならない」場面に直面しています。
文責:ナガクル編集デスク・フリーライター寺澤順子
長野市民新聞 SDGsコラム地域を救え!地球を救え!SDGs達成への挑戦
2020年6月23日掲載