2020年、新型コロナ感染拡大の影響で多くの市民活動団体がイベントや活動の中止を余儀なくされました。
そんな中、2020年11月28日に、佐久市市民活動サポートセンターの主催で「未来へつなごう!市民活動 ~withコロナでも “つづく” 活動の工夫~」と題した講座が開催されました。
事例紹介で登壇されたゲストは、佐久市内山で多世代交流拠点を運営する「いずみ会」代表の大塚和枝さんとサポーターの浦野千絵さん、そして2009年から市民参加型のミュージカルを主宰するこころのミュージカル制作委員長の廣末恵子さん。
「だれでも集える居場所、地域で暮らし続ける為の支え合えるしくみづくり」を目的に活動されているいずみ会では、2020年3月、全国一斉休校になった際に日中子どもの受入もされていました。
子どもたちの「マスクを作ってみたい」という声から始まった手作りマスクは、近隣の高齢者や施設に寄付したり、販売もされました。
「(新型コロナの流行を受けて活動を続けるかどうか)ひとつ確認したのは、代表の大塚さんがどうしたいのかの『想い』を確認しました。
大塚さんが『活動を続けたい』と言ったので、そのためにサポーターとしてできることを考えました」と語る浦野さん。
浦野さんは福祉施設等におけるリスクマネジメントを本業とされていることもあり、「手洗いマイスター講座」を実施したり、飛沫感染パネルを設置したりなど、きめ細やかな対策を講じてこられました。
本業は医師をされている廣末さんが、感染対策を徹底されているいずみ会のお話を聞いて「日本の地域活動のあるべき姿をみた」とコメントする場面もありました。
廣末さんは冒頭2019年の台風19号の経験に触れ、「公演の3週間前に拠点となるコスモホールが被災し、どうしようかと思った。『でもやろう、やれる方法を考えよう』と、小諸で公演することに決め、成功に導いた。その経験があったから、コロナ禍でも『やっぱりやろう』となった」と語りました。
「できるかできないかではない。やるかやらないか。どうやったらやれるか。やれる方法を考えよう」
「文化芸術をどう絶やさずにできるかも考えました。関係者に医療従事者もいるので、正しい知識を伝えて、地域で活動を進めていくのがこころのミュージカルの役割だと思いました」
活動を続けてこられたゲストスピーカー3人それぞれが乗り越えられてきた葛藤と覚悟が伝わってくるお話でした。
続いてさくさぽスタッフより、市民活動をする上で参考になる感染対策ガイドラインと、佐久地域で実際に活動されている皆さんの感染対策の工夫について紹介しました。新型コロナ感染者への差別をなくそうと始まったシトラスリボンプロジェクトについてもご紹介しました。
質疑応答の後、後半は「活動を継続するためにどんな工夫ができそうか? これから自分で(個人で/団体で)やってみたいこと」をテーマにグループワーク。参加者同士で意見を出し合いました。
「基本的なリスクマネジメントの知識を共有する必要がある」
「オンラインを取り入れた活動も考えていきたい」
「自分たちで続けていくためのルール、続けるために必要なものは何かを考えて、それを可視化して共有することが大事」
などの意見が出ました。
参加者からは、
「『やれる道を探す』という言葉が印象に残った。活動しているメンバーがどういう思いでいるのかを共有して見える化することが大事だと思った」
「仲間と理念を共有する、守れるルールづくり、そして何よりも仲間と楽しむことが大事だと思った」
などの感想が寄せられました。
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【追記】(2021年2月現在)
講座を開催した11月末以降、年末年始にかけての感染拡大を受けて、状況は大きく変わりました。
2021年1月、佐久地域は長野県新型コロナウイルス感染警戒レベル5になり、「新型コロナウイルス特別警報Ⅱ」が発令。
こころのミュージカルは、1月末に予定していた公演を3月へ延期されることが決定。
いずみの家でも、一時活動を中止されました。
今後も、状況は常に変化します。感染拡大の状況を見極めながら、適切な判断をすることが必要です。
それでも「何のために活動するのか?」という想いに何度でも立ち戻り、灯を絶やすことなく、人と人とのつながりを支える活動が続くように願っています。
資料はさくさぽホームページからダウンロードできます。
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文:ソーシャルライター/さくさぽコーディネーター 粟津 知佳子