1999年、長野県NPOセンターは長野県第1号のNPO法人として設立されました。NPO法施行の翌年のことです。この25年間、県内には多数のNPOが生まれ、社会課題解決に向けてさまざまな取り組みを行ってきました。その結果、NPOは地方公共団体、企業に次ぐ第三の勢力として社会を担う存在に成長したと思います。当法人は社会の一端を担うNPOを支援するとともに、まだ認識されていない社会課題を掘り起こし、協働の精神で他の団体や組織と共に課題解決に向けての仕組み作り、枠組み作りにしっかり取り組んできました。
近年特に力を入れているのは災害対応です。災害が頻発する昨今、その対応には行政のみならずさまざまな組織、団体の協働が必要です。行政の力のみでは限界があるため、平時から災害に備えた多数の組織や団体からなるネットワークを組み、いざという時に備える取り組みをしています。今後は、このネットワークの基盤強化と長野県との協働による官民連携の被災者支援体制作りを進めていきます。

その他、県内NPOに対しては、引き続きさまざまな角度から基盤強化支援を行っていく必要性を感じています。NPO経営は経済的、人的に脆弱なところも多く、事務作業が大きな負担となっているのが実態です。しかし、NPOが社会的信用を得るためには報告書や計算書等の作成を適正に行い、しっかりと情報開示を行う必要があります。NPOが社会を担う一つの勢力として成長し続けられるよう、この部分を支援していきたいと考えています。
加えて必要なのは広報です。県内のNPOの活動を広く社会に伝え、人々の心の中にNPOの存在意義と価値を醸成していくことにも注力していきます。これは当法人のウェブメディア「ナガクル」を中心に進めていきます。
このように私たちは、これから出てくるあらゆる課題に協働の精神で立ち向かう人を応援し、自らも課題解決にあたっていきます。そして、NPOが社会を支えるより太い柱に育つための支援をしていき、人々が安心して暮らせる社会となることを目指していきます。
執筆:NPO法人長野県NPOセンター 代表理事 亀垣嘉明
初出:長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2024年7月掲載