長野県災害時支援ネットワーク(通称:N-NET)が主催した災害時の連携を考える第6回長野フォーラム(2024年1月26、27日 長野市)の二日目、5人のパネリストによるパネルディスカッションが行なわれ、「美味しいご飯が『命』を救う」をテーマに意見交換しました。
被災直後は物流が止まってしまうためアルファ米などでしのいだとしても、ある程度回復してきたら命や生活を守るために、美味しい物、温かい物で元気を出してもらうことが必要です。それを民間として支えていくにはどうしたらよいか。パネリストは日常の活動を紹介しながら、災害時に連携して何が可能かを自由な発想で話し合いました。
コレクティブインパクトをどう創出するか
パネルディスカッションのテーマは、災害時の「食と栄養」についてで、「いかにコレクティブインパクト(連携による成果)を創出するか」です。それを考える上でのキーワードは「異業種間のコラボ」「温かい食事」「地域との関り」です。
キッチンカーの運営者、非常食の製造会社、防災や災害時の対策を進める行政、栄養に関する研究・教育者といった分野の異なるパネリストが登壇しており、テーマとキーワードにそって、どのような連携のヒントが生まれてくるか、会場の聴衆は胸を膨らませて聞き入りました。
食生活改善とコミュニテイーづくりを目指して ―原裕樹さん
ファシリテーターを務めたのは、㈶味の素ファンデーションの原裕樹さんです。味の素㈱が2017年に設立した公益財団法人で、食と栄養に関する4つの事業を展開しています。その一つが、被災地復興応援事業「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」です(2011年から)。「いっしょに作っていっしょに食べる」をコンセプトにした参加型料理教室を開いてきました。食生活の改善やコミュニティづくりを通じた復興が目的です。
2020年3月までに、東北3県51市町村で高齢者を中心に延べ54,434人が参加(3,771回)したそうです。スタッフ直接派遣型の料理教室は終了し、2021年以降は46団体が自主開催する活動を後方支援しているとの報告でした。
「食べること」は体の栄養だけでなく、心の栄養、人と人のつながりなど、さまざまな価値があることを、この間の取り組みで学んだと言います。炭水化物中心の食事が何カ月も続くと災害関連死にもつながるにもかかわらず、「食と栄養」の課題は依然ととして置き去りにされていると訴えました。
現在の活動としては、食べる支援プロジェクト(たべぷろ)を2019年に立ちあげて、官・民・学連携による多職種・多組織連携プラットフォームとして取り組んでおり、長野県内でも講演会やワークショップをしているとのことでした。
能登半島の被災地支援も進行中で、現地と連携を取りながら求めに応じて食品を送っているとの説明があり、この日は会場で参加者に『ありがとうレシピ』『どんなときもレシピ』の冊子が配布されました。(下の写真参照)
道路が通行可能なら出動できるキッチンカーの機動性 ―村上裕紀子さん
一)ながの移動販売つなぎ局の村上裕紀子さんは、移動販売(キッチンカー)の機動性について強調しました。道路の通行が可能であれば、災害時に被災地へ出向き、温かい食べ物を提供することができます。
つなぎ局が誕生したのは、3年ほど前のこと。コロナ感染拡大で飲食業が経営困難になったとき、県の補助を受けてキッチンカーの参入者が激増したそうです。そこで、営業できる場所(土地・スペース)を提供してくれる人とキッチンカーの出店者とをマッチングする目的で立ち上げました。市街地で移動販売として営業が成り立つことが不可欠ですが、それだけではなく地域福祉的な側面から食堂がない地域へ出向くことや、外へ出ることができない人たちがいる福祉施設へも出店しているとのことです。またエシカル消費にも心掛けています。県内のキッチンカー事業者の登録は56店(2024年1月現在)になっています。
災害時はキッチンカーが大きく貢献できますが、災害が起こる前の仕組みづくりが必要だと村上さんは指摘しました。被災地のどこへ出動すればよいかの情報があれば、つなぎ局で調整して現地へ出向くことができます。そのためには、N-NETなどの中間支援組織や行政などとの連携を日常的に構築していことが求められます。支援の漏れやムラをなくすことも重要であり、村上さんは会場のみなさんとの連携を訴えました。
長野県から能登半島への出動要請があり、県庁で1月31日に出発式を行なって県内のキッチンカーが現地へ向かっています。
災害時はキッチンカーで役立ちたい ―藤原喜代子さん
安曇野で養豚の仕事をしてレストランなどに直売している(有)藤原畜産の藤原喜代子さんは、2011年の東日本大震災のとき、知り合いのシェフたちがキッチンカーで被災地に駆けつけたのを知って、キッチンカーが災害時に役立つことを知ったと言います。自分もキッチンカーが欲しいと思うようになり、赤色のキッチンカーを手に入れることができました。
いまは災害時に何ができるか考えながら、いろいろな場所に出店しています。地域の人口が減少するなかで、軒下などを利用して週に何回か出店しているとのこと。その活動が地域の人たちに定着していけば、災害時に役立つのではないかとの思いがあるようです。
被災時は、キッチンカーがまず動いて、そのなかで炊き出しの体制が整っていけばいいのではないかと提案した藤原さん。石川県の知り合いのシェフたちが今回の震災で炊き出しで動いていることを紹介しながら、道路状態などから現地に行けない状況にじれったい気持ちでいるようです。長野県に災害時に特化した協会のようなものがあり、行政や民間と手を組めたらとの提案がありました。藤原さんは個人の立場なので被災地に入れないため、連携の必要を訴えました。
さらに藤原さんの心配は、中南信で大きな災害が起きたときのことです。北信地域は4年前の被災体験でキッチンカーの重要性の認識や対応のノウハウが生まれているものの、中南信はそこまでいっていないので、今から何らかの体制づくりをと訴えました。
避難時の栄養不足を救う「食材」を提案 ―北嶋佳樹さん
非常時の食材を提案したのは、アスザックフーズ㈱の北嶋佳樹さんです。同社はフリーズドライ・エアードライ食品を開発・製造・販売している須坂市の会社です。
フリーズドライというのは、凍らせた食材・スープを凍らせたまま真空乾燥させる技術で、お湯や水、牛乳などを注ぎ、約1分で復元できます。乾燥のため栄養分の変化が少なく、水分を除去しているので軽く、長時間保存できる特徴があります。
商品としてはスープ、茶わん蒸しの素、大根おろし・とろろ、牛乳で作る飲むデザートなどが揃っています。さまざまな野菜の乾燥食材も用意されています。これらは避難生活のなかで不足しがちな食物繊維(野菜)、カルシウム、タンパク質などの栄養を補うことができます。乾燥食材は炊き出しの食材として使うことも可能で、カットは不要です。鍋に入れるだけで調理でき、生ごみの削減にもつながると北嶋さんは説明しました。
利用を加速する方法として、家庭での食品として取り入れることにより、賞味期限切れに注意するローリングストックの習慣がつくことや、普段から食べ慣れておくことで災害時に安心して食べることができることも説明しました。
平時と災害時の区別なく利用しておき、災害時に活用しやすい特色を持つ「食材」の存在は、参加者に強いインパクトを与えました。何より体験が大事だということで、北嶋さんから参加者に「野菜とたまごの具沢山スープ」「水でできる大根おろし」の試供品が提供されました。
大規模災害に備え、地域住民自身による支援体制づくりに力を入れる ―小松剛さん
行政の立場でどんな取り組みを展開しているか報告したのは、伊那市役所危機管理課の小松剛さんです。小松さんは、まず「地域内で支援者を確保する重要性」について報告しました。感染症流行期や孤立リスクが高い地域では外部からの支援が得られにくくなります。近所で助け合いながら地域で乗り切らなければなりません。そのために必要なこととして、次の3点をあげました。
☆平時から互いを知り、災害時には支援者になる意識を高める
☆みんなで連携し、負担を減らしながら協力する準備をする
☆そのために「今から」体制を整える
具体的な取り組みとして、地域の自主防災組織の連絡会を立ち上げ、防災おでかけ講座を開き、高校生や女性団体との取り組みもしているとのことです。
また、上伊那災害時支援ネットワークを構築し、平時は研修会や勉強会、災害に関する情報交換、各団体からの情報提供をすすめ、災害時においては情報共有、被災地ニーズの共有、可能な支援の提供、要請に応じた対応をするとしています。これをフェーズフリーで進めます。(フェーズフリー: 平時や災害時などのフェーズ(社会の状態)に関わらず、適切な生活の質を確保しようとする概念)
伊那市はドローンで届ける「ゆうあいマーケット」に取り組み、地域に出向く「モバイル市役所」を実施しています。これらを活用し、大規模災害時は避難所に派遣し、情報を発信したり情報を収集、人や物資の輸送をするとしています。誰かがするのではなく、自分たちがするというとらえ方が重要であることを強調し、伊那市地域防災コーディネーターを500人、1000人と養成する構想を伝えました。
ローリングストックを活用した「被災時1週間の献立」を提案 ―稲山貴代さん
応用栄養学の授業として、大学で災害時の栄養学を講義や実習で行なっていることを、長野県立大学教授の稲山貴代さんが報告しました。『あなたに届けたい 私たちの応援レシピ 災害編』を使った実習、ローリングストックを活用した発災後一週間の食事・栄養計画の研究、長期保存可能食品を活用した災害の備えの栄養教室などの学びの内容を説明しました。
「災害時に備えた食品のローリングストック」と言われてもイメージがわかないことから、稲山さんは生活協同組合コープながのの協力を得て、1週間分の食事を見える化した献立を『食べて安心 備えて安心―災害発生後1週間の食卓』という36頁の冊子にまとめました。学生は店舗ツアーをして、実際にどこにどんな食材があるかを見て回りました。1週間分の献立の食材は、身近なお店で入手しやすく、日常でも災害時でも活用できる必要があります。また自分の食卓にあうものであることも大切です。ライフラインの復旧状況を想定しながらエネルギーとタンパク質を確保し、主食・主菜・副菜がそろったバランスのよさも考慮した内容となっています。店舗ツアーや調理実習で、学生はさまざまな気づきを得たといいます。(下の写真)
地域のサロンでも栄養教室を実施。そのなかで稲山さんが感じたのは、「入口と出口」が重要だということでした。「災害について学ぼう」と呼びかけても限られた人にしか伝わりません。そこで「入口戦略」として野外キャンプや登山、夏休みの親子クッキング、食品工場見学といった方法で開催します。「出口戦略」としては高齢者のサロンづくり、まちづくりリーダーの育成、身近な食料品店との連携などが考えられます。入口は「災害に備えて」とし、出口は高齢者の閉じこもり予防といった工夫が必要だとしました。
フリーズドライの製品や関係企業とキッチンカーとの連携
異なる立場のパネラーからの自己紹介と活動紹介のあと、コラボの可能性を意見交換しました。
最初にファシリテーターの原さんが、中越地震(2004年)のとき、被災後2週間ガスが使えなくなったなかで、プロパンガスを使っていた仕出し業者が煮物を、米菓企業が米飯を分業することにより、20人程度で8,000食を提供できた事例を紹介しました。
続いてアスザックフーズ㈱の北嶋さんが自社の製品を活用することにより、調理時間の短縮、生ごみの削減ができるとともに、調理する人を減らして(例えば3人必要なところを2人に)、それによりキッチンカーをより多く出せるのではないかと提案しました。また調理の手間を省くことは、支援者の疲労を軽減することになるとしました。(下の映像)
これを受け、つなぎ局の村上さんは賛同するとともに、食中毒防止の意味でも貢献できると感想を語りました。生の食材を持って行って調理するとき、夏の暑い時季は保冷庫の限界もあるので食中毒のリスクがあります。フリーズドライであれば気にしないで調理できるとしました。キッチンカーは中が狭いので、場所を取らないメリットもあるとのことでした。
行政の立場から小松さんは、一日かけて行なった高校生の防災授業のとき、キッチンカーをお昼として出した取り組みを報告しました。「災害時のイメージを体験してもらったが、こういう車が来て、いつも食堂で食べているようなものを提供してもらえたことが新鮮だったようだ」と生徒の感想を話しました。
キッチンカーで出動するときのことを頭に思い描いていた藤原さんは、容器の会社や運送会社とコラボできたらうれしいと発言しました。さらに加工会社と連携できれば、小回りのきくキッチンカーで現地に入り、温めるだけで提供できるというアイデアを提案しました。
平時からコラボして使ってみることが必要
教育の現場で災害が起こる前の体制づくりを考えて研究や普及をしている稲山さんは、平時のコラボについてパネラーに問いかけました。
藤原さんは、「フリーズドライの製品を使ってみる勉強会が普段からあったら」と希望を述べました。北嶋さんはこの発言を受け、「水で戻すだけと説明しているけれど、食材としてどんな味付けになっているかはやってみないとわからない」と同意。料理のメニューでも味付けが変わってくるので試してもらうことが大事だとしました。
稲山さんは、なじみのない新しい食材を使ってみる講習会のとき、専門の方に来て話をしてもらうという企画が考えられそうだと話し、さっそく北嶋さんにオファーしました。
普段から広くつながっていることで、いざというときに力を発揮できることが浮き彫りになる話し合いになっていきました。
美味しく温かい食事を提供するためには
話し合いは、美味しく温かい食事をどう提供するかのアイデア出しへと進んでいきました。
最初に海外の事例が紹介されました。イタリアでは政府が災害用キッチンカーを約50台保有していて、政府が費用を負担しシェフ等の人材を民間ボランティア(プロ)として確保。発災と同時に要請がなくても出発して、48時間以内に温かい茹でたてパスタやピザ、ステーキ、野菜等を組み合わせた機内食のような食事が被災者に届けられるとのことです。ワインやビールが時々付くという説明に、会場からは「おー」と驚きの声。日本とは異なり、ヒトを優先し、民間に委託する仕組みができているようです。(下の写真)
フリーズドライのスープはお湯を注ぐので温かい物として提供できますが、北嶋さんは「おいしさ」という面での活用として、大根おろしを提案しました。水を注ぐだけで簡単にでき、これを薬味として添えるだけで美味しさが変わってくると考えられそうです。とろろの製品もあり、ご飯にかけて食べることができ、麺にも合うとのことです。
キッチンカーをコーディネートする村上さんは、シェアキッチンの活用を提案しました。キッチンカーは機動性があるものの、300人の避難所の人たちに温かい食事を提供するのは難しいと考えられます。そこで最近各地に誕生しているシェアキッチンを使わせてもらえないかというアイデアです。
「日本では災害のときだから我慢しなければいけないという空気があるが、それはおかしい」と村上さんは言い、料理人の協力を得てシェアキッチンで調理し、それをキッチンカーが現場へ運んで温めるという提案でした。大きなキッチンカーは300人分を運ぶことができ、小さいキッチンカーは山間部の小さな避難所や自主避難所の人たちのもとへ運ぶという仕組みです。運ぶことに特化したキッチンカーの利用があってもよいのではないかというアイデアでした。
藤原さんも、セントラルキッチンを設けて誰でも使えるようにしておくことを強調しました。また、避難所にキッチンカーを常設しておき、誰でも使えるようにしておくことを提案しました。大量の食事を提供することになると、調理する車と温める車の2台を必要とします。セントラルキッチンで調理できれば、被災地へ運んで温めるだけで済みます。
村上さんも避難所にキッチンカーを置くという提案に「それがいいな」と思ったと賛成しました。以前、県の危機管理課の意見交換会のときキッチンカーが展示されていて、参加者が「被災地に置いておけないのか」と話していて、そのとき「貸し出しもあり」と思ったと言います。被災した人たちが自分たちで食事を作ることもできるし、高齢者やアレルギーを持っている方、乳幼児向けなど、個別対応が必要な方が自分で調理できるメリットがあると考えを述べました。
学校給食センターとの関りについても話題となりました。
稲山さんは、学校給食には役割と縛りがあって簡単ではないが、最近は全国各地に防災食育センターができてきていることを紹介しました。ふだんは学校給食の調理や食育に使われ、災害が起きたときは市民への食料供給拠点になるのです。新しい学校給食センターを作るときに、防災と食育を結び付けたセンターとして建設されており、一例として東京都福生市の事例を説明しました。いざというときの市民のための備蓄がされているとのことです。
地域との関りも強めていこう
地域との関りについてへと討論は進み、行政の立場から知り得た情報として、小松さんは自主防災組織が取り組んでいるユニークな動きを紹介しました。避難するとき、「一品持ち寄りましょう」と呼びかけているそうです。避難先の公民館や学校が無事であれば、自分たちで調理ができ、地域の会合のときのような雰囲気で食事の場ができると言います。行政としてできることが限られるなかで、住民自身が「自分たちで何かやってみる」という気持ちが大事だということを伝えました。企業の方と話す中で、企業が持っている技術や資材を知らないことが多いと感じているとのことで、訓練や研修の場をたくさん設けて、それぞれのことをお互いに知って連携する必要性についても伝えました。(下の映像)
村上さんは、キッチンカーのみなさんの気持ちを伝えました。つなぎ局に登録するとき「災害支援に関心があるか」アンケートで聞いていますが、9割の人が「ある」と答え、「役に立ちたい」と言っているそうです。
しかし、実態はどう動いたらいいかわからないのです。それは普段からつながりを持っていないからで、キッチンカーの皆さんには地域に溶け込んでほしいと思うし、地域のみなさんには防災訓練のときキッチンカーとコラボする企画を考えてほしいと呼びかけました。「キッチンカーは商売にならないと来てもらえないと思われているかも知れないが、訓練に参加していないとキッチンカーのみなさんも動けないと言っているので、気軽に声をかけて」とお願いしました。(下の映像)
高齢者のフレイル予防の学びの中に防災を組み込んで、元気で人脈が豊かな高齢者の力を借りることや、多くの人を呼び込みやすい「食」を手段にして防災をとりあげていくというアイデアも出されました。
フロアから衛生管理について質問
キッチンカーの人たちの衛生管理についてフロアから質問がありました。
藤原さんは、キッチンカーには必要なものを備えてあり、衛生管理の中で運営していると答えました。むしろテントでの炊き出しのほうが、空間が広いため怖いそうで、狭いキッチンカー内でのほうが菌の飛び交う心配がないとしました。それを考えると、被災者の免疫力が下がっている期間はキッチンカーが入るのが理想とのことでした。村上さんも、キッチンカーの人たちは被災地の衛生を気にすると言い、ほこりなど調理の環境を気にかけているとのことでした。
提案のアイデア・仕組みを具体化していこう
最後に一言ずつ発言を求められ、村上さんは「やはりフェーズフリーでの普段からのつながりが大事。普段は暮らしに寄り添い、災害時はそのまま被災支援に移行したい」と答えました。
藤原さんは昨年実施したキッチンカーを入れた防災訓練の体験を紹介し、子どもとお母さんは何をすればいいか学び、おじいちゃん、おばあちゃんには最後の味付けを見てもらい、世代を超えた取り組みのなかで、「やはりいざというときは隣近所のつながりであることを痛感した」と話しました。そして、地域でキッチンカーを利用するとき「声を掛けながら買い物をしてほしい。どんな人がやっているかわかるから」とお願いしました。
北嶋さんは「商品を利用者に送ることにフォーカスしていたが、これからはどう使っていくかについて意見を聴きながら説明していきたい」と、この日の意見交換で感じた今後の方向付けを伝えました。
小松さんは、防災を特別なものにせず、いろいろな分野の人がつながる取り組みをする中で、気づいたらできていたというようにしたいとの考えでおり、「いつのまにか防災」を目指すとしました。そして、そこに「食」を絡めていくと決意を述べました。
稲山さんは、キッチンカーのことを食卓で話題にしたり、フリーズドライの製品を使ってみたりして、口コミで広げてほしいとお願いしました。
パネルディスカッションで出た様々なアイデアや提案をそのままにしないため、N-NET事務局の古越武彦さんは最後に「具体化するしくみを県や社協とも連携して作っていくと」述べてまとめとしました。
初日(26日)の様子は、次のナガクルでレポートしています。
取材・執筆 ソーシャルライター 太田秋夫(防災士)