いかに「覚悟」を決めて、災害立ち向かったのかーーー!?
NPO、企業、行政の担当者たちが、災害が発生した時に、キーマンとして災害復旧・復旧にあたります。「被災者に寄り添い、手を尽くして助けるんだ」。その「覚悟」が決まったのは、平時から、そして過去の災害支援でつなげてきたネットワークのおかげでした。
長野県で起きた令和元年10月の災害から2年が過ぎ、それら「覚悟を決めた人たち」が今年もオンラインで参集し、情報をシェアしあい、今後の災害に向けた決意を新たにしました。
長野県災害時支援ネットワーク(以下通称:Nネット)が主催した「第4回災害時の連携を考える長野フォーラム」が、2022年2月15日に開催されました。約200人がオンラインで参加し、全体会の後、各分科会に分かれて視聴しました。現在、ホームページからYouTube上で全編を動画で限定視聴できます。
被災者目線にたつ行政と民間との協働による支援とは
全体会では、「被災者目線にたつ行政と民間との協働による支援とは」をテーマに、長野県と伊那市の防災担当者をパネリストにし、Nネットの幹事団体である中谷隆秀さん(長野県生活協同組合連合会 事務局長)と、山室秀俊さん(Nネット代表幹事)が意見を交わしました。
まず、長野県危機管理防災課火山防災幹の古越武彦さんが「現状の被災者支援と行政が抱える課題(制度の課題、行政の防災体制など)」を発表しました。行政の人たちへ向けての発表とし、担当者へのアドバイスは「覚悟を決めること」「被災者目線に立つこと」と説明。そして「民間との連携調整をオール信州で一つになってやりましょう!」と呼びかけました。また「制度は被災者のため。現場の裁量でできることは最大限行う。次の災害はもっと被災者のための仕組みづくりができるはず」とし、防災は人づくりでもあることを強調しました。
JVOAD栗田暢之さんは、「防災支援計画や、受援計画に(NPOなどネットワークの参画を)位置付けていただくことが必要である」と話しました。
続いて、伊那市総務部危機管理課防災係主査の小松剛さんは、「防災、福祉の連携と民間支援との協働の現状」を発表しました。地域内で支援者を確保する雰囲気づくりが大事で、平時から、企業も入って一緒に考えて取り組む伊那市災害ボランティアネットワークを作ろうと準備中とのことでした。
平時からの県全体のネットワークが機能した
山室秀俊さんは、「被災者支援のコーディネーションを担う組織、行政・社協・NPOなどパートナーシップで」と強調しました。
そして主催である長野県災害時支援ネットワークについて説明しました。令和元年の災害以前「2018年1月29日に災害時の連携を考える長野フォーラム」をスタートしました。第2回は2019年3月21日でした。その後、台風災害が起きました。県の受援計画に従って、発災当日2020年10月13日には長野県の災害対策本部に、災害ボランティア担当としてNネットの幹事団体が着任しました。県庁内に拠点を構え、県と民間の県内外の団体と連携調整をしました。情報共有会議(23回、258団体、のべ1280人が参加)を主催し、現場の活動状況を共有して課題を把握し活動調整をしました。「災害ボランティア担当室」でコアメンバーによる会議を繰り返しました。県社協や生協連、NPOやNGOも自由に出入りして、情報共有とアクションを起こしていきました。 特に発災から半月後の10月28日の会議には、150人もの支援団体が集まりました。
課題としては、長野市や市社協との連携に時間がかかったことだと言います。被災者生活支援、ボランティアセンター支援、生業支援を行っていきました。「ONE NAGANO OPERATION」と題して、県庁内で膝を付け合わせて知恵を出し合った結果、支援のマッチングサイトやスマートサプライを立ち上げ、現場に近いサテライトの後方を固めました。「農業ボランティア」も立ち上げました。
しかし、避難所支援に関しては、平時に内容を共有できていなかったため混乱しました。担当者と民間の信頼関係づくりに時間がかかりました。そして、もう一つの課題は、在宅避難者支援について全域の把握ができませでした。
各分科会については、動画をご覧ください。
今後は、市町村単位でのネットワーク体制を
最後に、まとめとして、長野県域全体だけではなく、各市町村のなかでも、発災後すぐに連絡をとって共有ができるような、民間と連携した支援活動について必要性を確認しました。平時から、地域防災契約や避難所のマニュアル策定などが必要となってきます。22年度以降、同ネットワークでは、伊那・諏訪・長野市など市町村別のネットワークづくりのサポートをしていきます。
山室さんは「県域だけでは足りない。市町村ごとにネットワークが組める支援体制を。専門知識が必要。コーディネーションできる団体を見出していきたい。(ここに集まった一人一人が)覚悟をもって取り組むこと」と締め括りました。