行政の担えない解体作業を
長野災害救助支援隊N‐FiRSTの春原圭太さんを訪ねました。春原さんが重機によるボランティア活動を始めたのは、昨年10月13日に勤める介護福祉施設のある豊野地区をはじめ被災地で、被害を目の当たりにしたことです。何かできることはないかと考えた時に、家にある重機が目に入ったと言います。「これ、使えるんじゃないか!」と。
以来、多くのボランティアを率い、重機による土砂撤去や家屋整備をしてきました。
「最初は全くの手探りだった」とのこと。支援が必要な家をどう探したのかを聞くと、「コンビニなどの店舗に支援内容と連絡先を書いたチラシをポスティングして歩いた」と言います。非常時の情報収集の難しさを感じました。
N‐FiRSTが活動の中心に置くのは、公費解体の対象とならない倉庫などの解体です。公費が投入されないため、自費での解体を余儀なくされ、途方に暮れる被災者も多いためです。被災による精神的なダメージに加え、大切な財産もなくし、費用をかけて住居を壊さなければならない。そんな被災者の元へ出向き、倉庫の中のものを一つ一つ持ち主に処分していいものかを確認し、丁寧に解体作業を行います。涙を流してお礼を言われたことが何度もあったそうです。
行政が担うことはできない支援活動は想像以上に沢山あり、N‐FiRSTは、そこを埋める大切な存在となっているのだと改めて感じました。
長野市民新聞「市民とNPOのひろば」2020年10月1日掲載
文責:ONE NAGANO基金 村上
原文:ONE NAGANO基金ウェブサイト