つい最近、喉の疾患で、ものがまともに食べられない日が続きました。 そんな中、ものを食べたり飲んだりすることの難しさ・大切さを改めて思いました。食べなければ、確実に体重は減り体力は落ちて気力もなくなるということを、体験したのです。今はもと通りに食べられるようになって、食べれる喜び、楽しさを味わっています。
子ども食堂に参加して
以前、安曇野市で、3年程「おなかまキッチン」という子ども食堂のボランティアスタッフをしたことがあります。子ども食堂について書くと、書き切れないものがあります。
私が子ども食堂のスタッフとして関わり始めた理由は2つあります。1つは、「子どもの貧困」という言葉が遠い存在でないことに気がつき始めたということ。日本の経済格差が拡がり、「日本の貧困は“相対的貧困”」なんだからまだ良いのでは、などと言っていられない状態ではないかと思い始めていたことです。
私が関わろうとした子ども食堂は、“孤食”で寂しい思いをしている子どもたちに、みんなで一緒に食べることの楽しさを味わって欲しいというものでした。
実際、参加者の中には、貧困故に十分な食事ができないお子さんもいたのではないかと思います。
そして、もう1つの関わりの理由は、自分で作った野菜(特に芋類)が自家では食べ切れず、春になっても残っていて芽を出させてしまって、結局破棄することが続き、勿体ないなあと感じていたことです。
ここは、子ども食堂に食材として提供するのが一番と考えたのです。
実際にスタッフとして協力して、私自身が得た物が沢山あります。子ども食堂の名前は「おなかまキッチン」。名前の通り、スタッフとしての“仲間”意識をもった人が集まりました。
子ども食堂に向けての準備会議が、とても楽しく、いろいろ勉強になりました。
当日に向けての準備には沢山やることがあります。一番大切なのは、メニューづくりです。だいたいの食材を想定して、そのつど、新しいアイデアが出てきます。みんなで1つの目標に向かっていろいろ意見交換していると、自然と一体感が出てきて楽しくなります。更にそこに、スタッフの子どもたちがいたりすると、益々「子どもたちのために」という、やりがいのようなものが出てきて、まさに「おなかま」で行なう、子どもたちが喜びそうな子ども食堂準備会議となっていくのです。
2時間あまりの時間の中での準備会ですが、いろいろな役割が必要なことがわかってきます。会場掲示係、食材係、調理班、受付、開場準備班(後にはイベント担当も)など、沢山の役割あるがありますが、準備会そのものも、それぞれ楽しみながらやったものです。
そして、当日の朝、親子が、少しずつやって来ます。
受付で、「こんにちは!」と言って迎えるスタッフ。
「よろしくお願いします」と親。
子どもたちも、少し恥ずかしながら「こんにちは!」
こんな感じではじまる「おなかまキッチン」!
調理が始まり、スタッフに混じって、キッチンで楽しく調理のお手伝いをする子ども。食事会場では、担当スタッフとカードゲームなどをしながら、食事ができるのを楽しみにしている子どもたち。
食事の用意がととのうと、みんなで用意したテーブルにつき、バイキング方式で自分の好きなものを好きな量だけプレートに盛り付け、席につきます。
スタッフからメニューの内容についての紹介、材料を提供してくれた人の紹介などがあり、いよいよ「いただきまーす!」。子どもたちだけでなく、スタッフ全員も一緒になっての楽しい食事が始まります。
今想えば、懐かしくも、楽しい体験でした。
食は命、そして楽しく!
食べることは、生き物が生きていくためには欠かせないものであることは当たり前であり、水や空気と同じように、私たちの「命の大元」であり、「食は命!」であると思います。そして、栄養・安全面だけでなく、何にしても「楽しく食べる」ことこそ、人間に与えられた特権?であり、これを”享受”するに越したことはないと思っているところなのです。
《筆者中村健プロフィール》―9つ顔を持つ男―
①庭師(25年の経験) ②ファシリテーター(繋ぎ役、力引き出し役) ③ワークショップデザイナー ④SDGs翻訳家(SDGsを分かり易く解説する人) ⑤ツリーハウス「修復の家」管理人 ⑥「子どもの権利とSDGsについて語る会」代表 ⑦にわか俳諧師(季節毎の自然を俳句・川柳で語る) ⑧やまびこネット(地域づくりネットワーク長野県協議会)松本支部長・会長 ⑨ソーシャルライター