10月12日から13日未明に掛けて襲った台風19号。その被害は長野県各所で甚大です。
穂保地区では、堤防が決壊した後15日水位が低下し、17日には仮堤防が完成。ようやく住民が現地に入れる状態となりました。24日に決壊現場近くの民家でボランティアと一緒に作業する被災者の大学生に話を聞くと「17日に県外から戻ると、実家周辺は見渡す限り泥だらけ、言葉を失った」と話しました。決壊箇所のすぐ近くにある長沼コミュニティセンターの体育館の床ははがれ、北側の民家に突っ込んでいました。重機を持って助けに入ったグループが撤去作業を行っていました。こうしたプロボノ(専門家のボランティア集団)といわれる民間NGOが、重機やダンプ、軽トラなどを全国から調達し、廃棄物や泥を運び、道を明けていました。
災害が発生してすぐに、災害専門のNPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が県災害対策本部室に入り、岡山や広島の災害での経験をもとに、現地調査をし対応に当たりました。また県NPOセンター、県社会福祉協議会、県生協連などの民間が作る「長野県災害時支援ネットワーク」のメンバーも対策本部で県職員と共にボランティア担当としてその対応に当たっています。
長野市では市社会福祉協議会が中心となって「災害ボランティアセンター」南部と北部団体サテライトの立ち上げ運営に着手。
また民間組織「長野市災害ボランティア委員会」や防災啓発グループ「ながのみらい」のメンバーが、避難所やボランティアセンターなどに調査、サポートに入り、毎晩ミーティングを重ね、現状と課題を共有し被災者支援に尽力してきました。フェイスブックやメッセンジャーなどのSNSを活用して、24時意見交換を行い、民間サイドにできることを模索。同時に市民に様々な情報提供をし対応に当たっています。
県災害時支援ネットワークはNPOや市民グループなどを集め、14日から週3回、情報共有会議を開催。6回までで延べ332人、94団体が参加しました。毎回、県の防災本部からの情報共提供、被災現場の状況、災害ボランティアセンターの現状、避難所での被災者の様子などについて報告があり、分野ごとに車座で意見交換します。
24日に行った第6回会議では「今、現場では災害廃棄物の山、泥の山がたくさんあり無残な光景に。住民やボランティア、関係機関みんなで心を一つにして景色をきれいに一変させたい」と災害NGO「結」の前原士武さんが訴えました。また県災害時支援ネットワークは市災害ボランティア委員会と協働で、炊き出しや心のケアなどのボランティアをマッチングするシステムも準備しています。
今までに経験のない災害対応の混乱の中で、県と市や自衛隊、県内外のNPOや社会福祉協議会、そして小さな市民グループと一緒にスピーディな協働が求められています。「ここからが長期戦。在宅避難者の調査や支援活動もし、一人も取り残さず助けたい。みんなで一緒にがんばりたい」と第6回会議参加者が最後に呼びかけました。
ナガクルは国連が提唱する「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)に賛同しています。この記事は下記のゴールにつながっています。