#長野県 広がる温暖化の波

温まる長野。冷やすヒトビト。

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執筆 : K-た (ナガクルソーシャルライター )
 2020.3.15

グレータ・ティンティン・エレオノーラ・エルマン・トゥーンベリさん

2003年1月3日にストックホルムで生まれ、学生でありながらスウェーデンの環境活動家として活躍しています。主に地球温暖化によってもたらされるリスクを訴えています。

スウェーデン語で「気候のための学校ストライキ」という看板を掲げて、より強い気候変動対策をスウェーデン会議の外で呼びかけるという学生時代を過ごし始めたことでよく知られるようになりました。彼女が2020年1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で演説し、「私たちの家は今も燃えている。皆さんの怠慢が1時間ごとに油を注いでいる」と世界に警告したはあまりにも有名な話です。CNN.co.jp _ グレタさん、ダボス会議で演説 「今すぐに行動を」 より。)

 

 

そして、彼女が警告している火の手は長野県でも身近に広がってきています。

長野県内の年平均気温は、100年あたりで、 長野市で1.1℃松本市で2.0℃*、飯田市で1.3℃上昇しています。そして様々な動物たちにも、その影響が出てきています。絶滅危惧種や生態系の重要性、生物の多様性の保全等の普及などで活用されている長野県レッドリスト(2015)では、505種の動物が絶滅の恐れがあるとして、示唆されています。(※長野県レッドリストについては長野県のホームページ「長野県版レッドリスト(動物編)2015の公表について」を参考。)

 

長野県気象活動防止センターホームページより引用

農業部門でも、リンゴの着色不良、白末熱粒、が増加する傾向がみられ、80日あった寒天づくりの生産期間が、60日~70日程度にまで短くなってきています。長野県中部よりも北にみられる、シラカシの林の広がりも、平均気温の上昇によるものだと言われています。こうしている間にも、我々の身の回りでは、少しずつ温暖化が進んでいます。

赤沼地区のリンゴ畑。実ったリンゴはすべて出荷できず。2020.1.9撮影。

また,局地的豪雨や台風の強大化などによる洪水被害等が多発していて,それは地球温暖化の影響が徐々に現れ始めたと言われています。今後は緩和策に加え,適応策を検討することも必要とされています。

千曲川決壊現場近く。2020.1.9撮影。

では、長野県では具体的にどんな対策がとられているのでしょうか。

まず、県境の峠、軽井沢の町中に、木製のガードレールが見られます。そして、信号機も省エネ型で見やすい発光ダイオード製が使われているようです。多くの山沿いの斜面や家々には太陽光発電や太陽熱温水器がみられます。こうしてよくみてみると、ところどころに環境問題に対する行政や民間のアプローチが垣間見えます。

 

      木製のガードレール 軽井沢。2020.2.28撮影。

      斜面に見られるソーラーパネル 立科町の藤沢付近。2020.2.28撮影。

 

県の方針としては、令和元年11月県議会定例会での「気候非常事態に関する決議」を受けて、阿部知事が「気候非常事態」を宣言し、この中で「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」とすることを宣言しました。さらに、実際に行われている温暖化対策の取り組みとして、気候変動の「緩和」という観点から、信州・気候変動モニタリングネットワークが、「適応」という観点から、信州・気候変動適応プラットフォームが設置されました。 また、気候変動適応法(平成30年法律第50号)13条の規定により、信州気候変動適応センターが設置されています。

 

そして、長野県に大きな爪痕となったのは、昨年。「令和元年東日本台風(台風第19号)」が長野を直撃しました。その事後、災害ボランティアの方々が復旧に大きく貢献しました。その際に、素早い体制づくりができた背景には、※1事前に長野県で災害支援を受ける計画が事前に作られていて、ボランティアの支援のありかたを国や自治体、そしてボランティア側も交えて話し合っていたということが大きく作用していたようです。

災害発生後には、※2県と市、国の各省庁、そしてNPO法人などが頻繁に情報共有会議を開いたほか、県庁内にボランティア団体の活動拠点も設けて、協力し合いながら対応を進めているようです。

上田市別所線赤鉄橋崩落2019.10.15撮影

内閣府の担当者は※3「災害発生直後から本格的な連携が行われた初めてのケースと言えるだろう。」と高い評価を下しています。(under line ※1※2※3 NHK 「台風19号1カ月 ボランティア 活動環境の整備を(時論公論)」より引用)

 

グレタさんが言うように、こうしている今も、地球温暖化は見えない炎となって、生態系や気候を変動させています。その一方で、長野県でも着々と行われていることがあります。

 

長野県は大きく自然に恵まれている県の一つです。住民の踏み出す一歩。少しずつ変わっていく風景や、台風の時に見られた人と人との絆。そのつながりこそが、見えない銃弾に消えていくライチョウやニホンカモシカ、そして気候変動や、農作物に表れている異変への何よりも特効薬となることでしょう。

撮影:Junko Terasawa@地獄谷

グレタさんの言葉に身を引き締めながらも、長野県の取り組みを調べていくうちに、私は少しだけ、楽観的に地球環境問題に取り組めそうな気がしています。

執筆 K-た(フリーライター)

 

参考

グレタ・トゥーンベリ – Wikipedia

CNN.co.jp _ グレタさん、ダボス会議で演説 「今すぐに行動を」

信州・気候変動適応プラットフォーム _ 信州・気候変動適応プラットフォーム

信州気候変動モニタリングネットワーク

信州気候変動適応センター(LCCAC-S)

長野県地球温暖化防止センター

「台風19号1カ月 ボランティア 環境活動の整備を」(持論公論)

「長野県レッドリスト(動物編)2015」の公表について

 

 

ナガクルは国連が提唱する「持続可能な開発目標」SDGs(エスディージーズ)に賛同しています。この記事は下記のゴールにつながっています。

     

 

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