#60歳女子が、長野県シニア大専門コースで受けた衝撃。25年度募集スタート!

60歳女子が、長野県シニア大専門コースで受けた衝撃。25年度募集スタート!

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取材・執筆/ 寺澤 順子 (ナガクル編集デスク・シニア大学専門コース7期生)
 2025.1.27

あなたは「シニア」という言葉にどんな印象を抱いていますか。60代に入った筆者自らがシニア大学専門コースに入学。その衝撃の出会いと新規事業計画作成に至る体験談をもとに執筆しました。


長野県シニア大学では、一般コースとして県内を10圏域に分けて、2年制の教養講座、趣味・健康・交流講座、地域づくり講座が展開されています。また、1年制の専門コースが長野市を拠点に2018年度からスタート。ライフデザイン・コミュニティデザイン・ビジネスデザインのコース計30名程度。いずれも全県が対象で、対象年齢は概ね50歳からです。

特に2024年4月に筆者の入ったビジネスデザインは、ビジネス的手法で、地域の課題を解決するためのスキルを学ぶクラス。49歳から67歳までで50代が中心、シニアという一般的な感覚とは程遠い雰囲気でした。受講生の経歴としては、公務員退職者、起業経験者、食や格闘技の専門家、作家など多様なメンバー。

また同じ専門コースのコミュニティデザインクラスの目的は、住民が主体的に活動する地域形成や居場所づくりの手法を身につけること。60代を中心に、すでに市民活動をしている方が多い印象。

そしてライフデザインクラスの目的は、自らの来し方を問い直し、他者の生き方を知り、より実りある人生をデザインすること。やや年齢は上がり最年長は80歳でしたが、いずれもエネルギーのあるアクティブシニアともいえるメンバーで構成されていました。前年度までに一般コースを終えてステップアップとして受講するメンバーもいました。

2024年度専門コース、全体会の講師は「等話」を提唱する宮城県尚絅(しょうけい)学院大学教授の松田道雄さん。同じく全体会の講師兼ファシリテーターはジャーナリストの内山二郎さん。ライフデザイン講師は松本大学総合経営学部非常勤講師の小林巨一(のりかず)さん、コミュニティデザイン講師は、まちの縁側育みプロジェクトながの代表の小林博明さん、そしてビジネスデザイン講師は社会起業家の田辺大(ゆたか)さんでした。

シニアの力が地域を支える時代に

シニア大学は概ね50歳からですが、いわゆる高齢者・シニアと呼ばれるのは、65歳からというのが一般的のようです。長野県のデータを見ても、65歳以上、75歳以上を区切りとした人口動態が公開されています。しかも、令和6年時点で65歳以上は県全体で33%に達しているのです。

シニアだからと老後を楽しんでいる場合じゃない! 個人差はあれど、体と頭が動く間は、社会起業や社会活動、地域づくり活動、趣味など、自分の生き方とどこまでも向き合い、経済活動を伴う生き方を追求する時代がきているのです。じゃないと、下のグラフを見ても明らかなように、労働人口の減少で、地域も社会も支えられないという現実が待っているのです。

実際、シニア大学専門コースに通うシニアたち(50-65歳も含む)には、そうしたポテンシャルがありました。最終発表会で見学に来た、修了生の先輩からは「とにかく自分が自分の地域でどう貢献できるか追求したい」とコメントも。余談ですが、「シニアでなくて『オトナ』と呼んで欲しい、年齢で区別する時代じゃない」との筆者の意見に満場の拍手をもらいました。

長野県(企画振興部)プレスリリース 令和6年 (2024年) 10月31日より

地域の活性化のカギは、50代以上の活躍だ!

シニア大学専門コースの定員は計30人で、それぞれのコースに分かれて月1回ほどの授業を受けます。

<長野県シニア大学が目指すこと>

シニア世代の多様な生き方、価値観を大切にしながら、自ら地域課題に気づき、学習を通して社会参加のきっかけをつかみ、社会の一員として地域とかかわる人材を育むことを目指します。

筆者の入った2024年度のビジネスデザインコースのメイン講師、田辺大さんは、飯田市の女性起業家セミナー講師も務める社会起業家であり、クラスのメンバーにとってメンター的存在となりました。

「社会起業とは何か」を学ぶための土台として、まず「問いの力について」の授業は新鮮でした。自分自身が、社会に対しても自分の生き方にも「問い」を持つこと。そして人に対して自分の「問い」を投げかけることで、自分ごととしてとらえてもらい、協力者が得られる。

特にシニア世代にとって「仲間づくりこそがソーシャルビジネス成功の秘訣」と学びます。シニア世代でせっかく起業するなら、社会課題解決に貢献することも大事ですが、楽しく、余白を持って生き生きと運営できるビジネス。これこそがシニアの生き方の真髄です。

実際の授業の骨子としては、ソーシャルビジネスとは何か、起業する際の法人格の選定、助成金など資金調達の手法、事業計画や財務計画の立て方、ニーズの掴み方、広報などなど。少人数で対話型のゼミ形式ですすめられました。

ここでクラスメイトについて紹介します。
この一年の間に、学校を作りたいと、すでに妄想会議を重ねて実現に踏み出したメンバーがいました。またアクセサリー教室の生徒と個展を実施することで新たな展開を目論む作家、食を通じた起業経験を活かしたソーシャルな取り組み、地域の退職者たちが音楽やアートを通してつながれるプラットフォームづくり、忍者をはじめとする日本古来の文化継承の教室の模索、そして有機農業での米づくりへの挑戦・・・。

学んでから実行、ではなく学びながら行動する。トライアルアンドエラーを繰り返しながら、応援したり応援されたりの1年。クラスメイト同士すぐにLINEでつながり絆を深めたのはもちろん、飯田市の女性起業家との交流も果たしました。

飯田市に訪問した際の関連記事は上の通り

シニア大修了後は「地域プロデューサー」の仕組みが!

専門コース全体の最終発表会の後半では、店出しをして全員が自分のやりたいことをアピールしあい、協力したいメンバー同士がつながる場が設定されていました。専門コースに集まるメンバーたちは実に多才で、一人一人がアイデアや人脈、行動力の宝庫です。挫折や経験を背景に自信に満ち溢れていました。

長年にわたり、シニア大学の運営をする公益財団法人長寿社会開発センターでは、修了生を「地域プロデューサー」として登録し、交流の場を設定したり、必要な情報を提供します。まさに長野県内シニアのネットワークができあがっているのです。メールはもちろん、LINEやメッセンジャーFacebookグループを通じて、活発に交流は続きます。シニア世代でも、スマートフォンはほぼ全員がもち、つながり合える時代が実現しているのです。

そして、現在、令和7年度のシニア大学一般コース・専門コース共に募集を開始しています。


筆者は当初「シニア」と名のつく大学に抵抗感を感じていました。しかし、人生100年が見えている時代に、60歳から自分はどう生きたいのか、何のために生きるのか、どう社会に貢献して生きるのか・・・自分と向き合ういい機会でした。

早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け

アフリカのことわざで、講師の田辺さんが最後に紹介した一節

シニア大学での学びとユニークなクラスメイトや講師たちとの出会い・会話を通して、漠然と抱えていた未来への不安が消え去り、自分の未来に光が差し、いま何をしたいのかが明確になった気がしています。

さてさて、では筆者は何を起業するのか・・・? こうしたオトナをターゲットとしたオンラインコミュニティメディアの立ち上げと、ライター養成事業の計画を進行中です。お楽しみに。

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