寄せ植えは、多種多様な花々がいくつも寄せ合って、自分の居場所を求めて咲き合う。ひと鉢に思い思いの花を植えてつくる「自分の庭」。
NPO 法人長野市環境緑化協力会が主催する「春のガーデニング講習会(寄せ植えの基本と実技)」が2022年4月23日(土曜日)、長野市小島田町の川中島古戦場史跡公園 屋外特設会場で開かれました。
開催は2年ぶり。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ずっと開催を見送ってきました。コロナ禍の催しは、検温と消毒、マスクの着用、緊急時連絡先の記帳が当たり前。密を避けるよう、人数の制限や屋外での開催、距離を開けた設営なども考慮されています。
天候に恵まれた春の日差しのもとでの講座に、半数以上が「はじめて」という参加者。そして開催を待ちわびた「しばらくぶり」の参加者。花々を前に、みんなの顔がほころびます。
今回のテーマは「春から初秋まで楽しめる宿根草の寄植え」。ひと鉢に、ラベンダー、サルビア、ナデシコなど6種類を植えていきます。
寄せ植えは、どこから見ても、なにかが咲いているよう見えるのが魅力。ひと鉢に植える種類に決まりはありません。多色でカラフルな組み合わせにしたり、山野草で和風に組み合わせたり、好きな花を選んで楽しみ方もさまざま。
香りが強い花を植えれば、虫が寄せ付きにくくなります。多年草は、冬を超えても、また咲きます。寒さが厳しくなったら、家中の廊下にでも置いておけば大丈夫。
催しや行事にあわせ、カーネーションとラベンダーでつくる「母の日」向けの鉢や、最近ではパセルやミント、バジルなどの「食べられる寄せ植え」もあります。
ただし、組み合わせには、コツがあります。「なんでも混ぜればいい」というものではありません。「水はけのよい土を好む」というように、土の状態にあう品種を混ぜることがポイントのひとつ。
そして生育と成長のバランスも大事です。1つだけ大きく育って、ほかが日陰に入ってしまっては残念。成長の具合が同じようなものをそろえれば、順に咲いていく花々の色合いを楽しめます。
用意するのは、鉢やプランター。底に敷く防虫ネットと土。限られた土で育てる寄せ植えは庭植えと異なり、土に気を配ることが大切です。水はけを良くする赤玉土や軽石、腐葉土を混ぜた培養土など。草花にとって「心地よい場所」となる土を用意します。
日頃の管理は、水やりと鉢まわしがポイント。水やりは花の根元へまわりから静かに。土が乾いていたら、鉢底から水が出てくるまで、たっぷり水をやれば4~5日は放置しても大丈夫。受け皿へ出てきた水は捨てておくのを忘れずに。
草花は太陽に向かって伸びるので毎日、鉢を回して全体にバランスよく陽に当てること。咲き終わった花(咲きガラ)と枯葉は取り除きます。
参加した小学4年生は「楽しかった」と笑顔を見せ、ご家族は「管理の仕方をはじめて知った。肥料のことも、水のやり方も分からなかった。これからも楽しみたい」と話してくれました。
主催したNPO 法人長野市環境緑化協力会の目的は「長野市の都市緑化における緑の創造とその維持管理を推進し、 緑豊かなまちづくりを推進する」こと。川中島古戦場史跡公園や南長野運動公園、城山公園など長野市内8か所の公園を維持管理しています。樹木と草花の管理や草刈りはもちろん、トイレの清掃や照明の点検など、公園施設全般を見まわって、より美しく利用しやすく親しまれる市民の憩いの場を整えています。
2年ぶりの講座を楽しむ参加者を見ていた同法人の青木和彦会長は「コロナ禍が心配で直前まで開催するか、できるのかと悩んだが、多くの方が講座に参加してくれ、花と緑のある暮らしの輪が広がっていくのがうれしい」と笑顔で話しました。
コロナ禍以前は年に15回ほど開いていた講座。今までの1番人気は「松のせん定講座」で、人数制限を設けなかった時は80名が参加したそうです。これからのイベント情報は、同会のホームページでご確認ください。
季節の移ろいとともに花と緑を楽しむ心豊かな暮らし。自宅で過ごす時間を楽しみながら玄関先やベランダでもできる自然と陸の豊かさを守る取り組みです。
<取材・文責>ソーシャルライター 吉田百助