2019年10月、私たちの住む大切な地域が想像を絶する水害に遭い生活が一転。多くの家屋そして主幹産業である農地も壊滅的な被害を受けました。あの辛く悲しいできごとを、二度と経験したくない—。
被災から多くの教訓を得るなかで、それらをどう後世に伝え、災害に強い地域にしていくことができるのか。今までになかった新しい仕組み作りが必要ではないかと、防災と農業を掛け合わせたライフアミューズメントパークnuovo(ノーボ・農防)が20年10月、水害から1年後に小布施の地に誕生しました。
災害時や災害復旧に必要とされる小型重機、四輪バギー、災害支援車両など、数々の働く乗り物を一同に集め、平時から体験や資格取得ができる施設です。小型重機については、1年で約600人を超える重機オペレーターを育成し、この冬も講習会は実施されています。
ただ、2日間の講習で十分な操縦ができるまでには至りません。そうした課題を解決するために、日本では初めてサブスクリプション(定額課金)で、重機のトレーニングができる仕組みを作り、現在70人程の会員さんが定期的に通い、災害現場を想定したトレーニングメニューで練習に励んでいます。
四輪バギーは、先シーズンの雪害で発生した関越道や北陸地方での渋滞の際、滞留車に支援物資を届けるなどの活動を行い、ネクスコ東日本新潟支社やネクスコ東日本関東支社とも災害協定を結び、連携してこの冬も緊急出動の態勢を整えています。
こうした、平時を楽しんでいるだけで災害復旧に役立つことができるという新しい仕組みは、全国各地、メディア各局からも注目されています。2021年4月からは、災害支援団体では珍しく2人の正規雇用者が加わり、人材育成や災害発生時の重機オペレーター・現場コーディネーターなど行政にはできない側面を担っております。
またnuovoを全国に広めようと7月には、千葉県成田市と飯山市戸狩にnuovoEXという体験施設が同時オープンしました。それぞれの施設でも重機やバギーの体験が気軽にできます。引き続き全国各地に広め、自分たちの地域を自分たちで守っていかれるよう波及させていきたいと思っています。
文責:一般財団法人日本笑顔プロジェクト 代表理事 林 映寿(はやし えいじゅ)
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2021年12月18日掲載