「自然観察からはじまる自然保護」水上則男

NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会は1980年に「環境保全の推進と地域の社会教育に資する」を目的に発足し、2004年にNPO法人になりました。

「戸隠ふれあいの森」における森林整備・植樹活動と「戸隠森林植物園」を拠点にした自然観察会などが主な事業です。

戸隠ふれあいの森事業は2000年にNPO法人やまぼうし自然学校(菅平高原/代表理事・加々美貴代さん)などと協議会を作り、北信森林管理署と協定を結び、皆伐(かいばつ)され笹に覆われた2ヘクタールほどの国有林に植樹を進めています。「樹を植えて鳥居川の水源の森を造ろう」を目標に、6月の植樹祭にはボーイスカウト長野第一団の参加もあり少しずつ林らしくなってきています。

植樹祭で苗木を植えるボーイスカウト

自然観察会は、毎年5月から10月までの毎日曜日、10時から12時までメンバーがガイドをして園内を歩きます。このほか、バードウォッチング、ホタル観察会、戸隠高原の自然に触れながら歩くネイチャーウォーク、スノーシューを履いて歩く雪上観察会などを行っており、県外からの参加者やリピーターが増えています。

単に花・植物の名前を伝えるのではなく、五感で移り変わる自然に触れ、その神秘を感じてもらうこと、そこから自然の大切さを理解してほしいのです。

森林植物園ができてから半世紀を超えました。長年の活動から感じるのは戸隠の冬の変化です。雪が少なくなっており、サラサラした雪から湿った雪に変わってきています。また、園内にはバリアフリー木道があるのですが老朽化のため撤去が予定されています。バリアフリー化を進める社会の流れに逆行しています。市、県、国をあげてこの環境、施設を守っていくべきです。

子どもたちや若い世代に私たちの催しや活動に参加し、より深く自然に親しんで欲しい。活動を通じて、心に癒しと余裕が生まれてボランティア活動に参加できる社会であってほしいと願います。

自然観察からはじまる自然保護で「環境保全の推進」を実践していきたいと考えています。より魅力ある企画を考え活動していくためにいっしょに活動する仲間も募集しています。

文責:NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会 理事長 水上 則男 (みずかみ のりお)
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2021年11月20日掲載