鬼無里の山と里と人をつなぐ

2010年6月にまめってぇ鬼無里としての活動を始めて以来、「環境にやさしい、持続可能な鬼無里」を目指して、地域資源を活用して鬼無里を訪れる人も住んでいる人も、それぞれが心地よくありたい、そして暮らしていきたいという願いを込めて活動してきました。

里山を整備してキノコ栽培用の原木を伐採、地域の資源を守りながら活かしています。

荒廃した里山や休耕田を活用して「田んぼくらぶ」や「もりがーる」といった体験型の取り組みを行いました。子どもに農業体験をさせたいという市街地の家族連れや、実家が鬼無里なのでと千葉県から来た女性、自然が好きで長野市への転勤を機に、など参加者は様々です。

みなさんに、鬼無里がどうあって欲しいかと尋ねると、帰ってくる答えは、鬼無里は観光地化せずに今のまま残って欲しいという声でした。ありのままの鬼無里を残したいという思いは、自然と明確な目標にかわってきました。

「地域資源を活用しエネルギーと食を自給して自立できる地域を作ろう。里山での暮らしを、次の世代に伝えていこう」ということで荒廃した里山を整備して、木質資源として活用するために薪づくりの「薪ステーション」を立ち上げました。最初はストーブユーザー向けの薪作りでしたが、今では温浴施設やピザ店など年間を通じて需要があり、キャンプ場での薪利用も増えています。

耕作放棄地を利用してのコメ作りも多くのオーナーが参加して、以前のような水田が復活しました。

昨年、これまでの活動が評価されて長野県環境保全協会より「信州エコ大賞」の大賞という思いもよらないご褒美をいただきまた。

10年という節目に、これまでの活動を振り返り、この先を思い描く時、まめってぇ鬼無里が続けてきた様々な活動を連動させて「鬼無里の山と里と人をつなぐ活動」にシフトし、荒れて放置された里山を生かすために、楽しみながら保全する活動に取り組むことを改めて考えています。

今までの様な一過性のイベントでなく、里山で生きていくための技術を伝える、人を育てる活動にしたい。先人が里山で生きるために身に着けてきた様々な技術を無くなる前に早く受け継ぎたいと思いつつ、まずは一歩前に進みだそうと思います。

文責:NPO法人まめってぇ鬼無里 事務局長 吉田廣子
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2021年5月21日掲載