“清走中”長野の学生発! 全国へ ゲーム感覚のゴミ拾いイベント躍進!

五輪施設70個分のゴミが毎年、海へ流れ出している

「ポイ捨てはやめましょう!」
皆さんは、こういった標語のポスターを一度は見たことがありますか?
なかには学校の授業や課題で実際に描いたことがあるかもしれません。

街中や駅前、路地などで見たことがある飲みかけの缶、転がっているペットボトル、路肩のタバコ、食べ終わったお弁当の入ったビニール袋、カップ麺の器…。

拾われなかったゴミたちはどこへ行くのでしょうか?
道端のゴミは風に飛ばされ、雨で流され排水溝に入ります。下水を通って川に流れ、やがて海へとたどり着きます。海に流れ出たプラスチックごみは、波や紫外線などの影響を受け、ドンドン細かくなっていきますが、自然に還ることなく海を漂い続けます。2015年時点でのその量は1億5000万トンを超え、現在でも年間800万トン以上が流出しています 。
長野市オリンピック記念アリーナ「エムウェーブ」約70個分に相当するプラスチックごみが毎年、海へ流れ続けているのです。

漂うビニール袋を餌と間違えて食べてしまった魚やウミガメ、釣り糸(ナイロン製)が足に絡まり飛べなくなって死んでしまった鳥の写真をどこかで見たことがあるかもしれません。なかでも「マイクロプラスチック」という5mm以下の小さな欠片の影響は深刻です。マイクロプラスチックは目に見えないほど小さいものもあり、魚の体内や血管に入り込み、どんどん蓄積していきます。まだ明確にはなっていませんが、巡り巡って、それを食べる私たちにも少なからず影響が出るのではないかともいわれ、日本はもちろん各国で対策が進められています。

ゲーム感覚のゴミ拾いイベント「清走中」って?

私たちにできることはなんでしょうか。
ゴミをなるべく出さないこと、ポイ捨てをしないこと、そして拾うことではないでしょうか?
とはいえ、道端に落ちているゴミを拾うのはなにかイヤだ…。休日にゴミ拾いボランティアに参加するまでではない。きっと自分がやらなくても誰かがやってくれる。
このような想いを抱き、スマホを見ながらゴミの横を通り過ぎたことはないでしょうか?
ゴミ拾いは「正しい」からこそ、取り組みづらいのかもしれません。

ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」は、そんな取り組みづらい「正しさ」を「楽しさ」から学ぶをコンセプトにスタートしました。

北村優斗さん


主催の北村優斗さんは長野市出身の18歳。【社会課題解決の敷居を極限まで下げる】をミッション掲げる東京渋谷区に本社のある株式会社Gab(代表取締役社長兼CEO 山内 萌斗)で清走中事業部長として活動しています。

子どものころ家族でよく行った江の島がゴミだらけになっていることをSNSや報道で知り、その様子に大きなショックを受けました。「海のない長野県からもできることがあるのでは」と、高校生の時からゴミ拾いをはじめました。
最初は義務感もあってはじめたゴミ拾いがいつの間にか「排水溝に落ちたお菓子の袋や、網にハマった空き缶をどうやってとるか?この感覚がゲームのように感じられて、とても楽しかったんです」という北村さん。
活動を続ける中で、どのようにすれば少しでも多くの人にゴミ拾いを「楽しい」と思ってもらえるかを模索し、考え出したのがフジテレビで放送中の「逃走中」と「ゴミ拾い」を掛け合わせた「清走中」でした。


「ゴミを拾っている写真を送ろう!タバコは300pt、マスクは500pt、ペットボトルは1000ptだ!」「エリア内のどこかにあるアイテムを手に入れてハンターを阻止せよ!」参加者はスマートフォンアプリLINEに送られたミッションを楽しみながらクリアしていきます。

「清走中」はこれまで長野県内をはじめ各所で開催し、累計参加者数は700人を超えました。
「実施にあたっては自治体の皆さんや多くの地元企業にご支援とご協力をいただきました」という北村さん。その熱意は、地元の環境をなんとかしたいと悩む企業の経営者の想いともつながりました。各自治体へも熱心にはたらきかけ「後援」をもらいました。

2021年9月~10月に全4回行った「清走中~諏訪湖編~」の際は、北村さんは1ヶ月諏訪市に滞在し、諏訪湖に浮かぶゴミをカヤックで毎日のように回収していました。上田市でいっしょに活動した丸山紘人さん(19)ら2人も加わり、新体制で臨んだ諏訪湖編。30分ほどのレクチャーを受ければ、小学生でもカヤックの操縦が可能なことを知り、新たにカヤックを使った清走中のプログラムを組み、20人ほどで100キロのゴミ回収に成功しました。

(前)スタッフの丸山紘人さん

長野県から全国へ広がるムーブメントに発展

ゲーム感覚ゴミ拾いイベント「清走中」は、今後も大きく動きそうです。「11月から12月に全国を回らせていただく機会をもらいました。いろいろな方々とお話しする中で『清走中に参加したい』『応援したい』という想いをいただくことがありました。また、各地でのゴミ問題の切実な実態を知り、より多くの人たちに清走中を届けたいと思うようになったんです」と北村さん。

全国16か所での開催を目標に、2022年2月11日~3月31日までの49日間で、300万円を募るクラウドファンディングを実施しています。

↑ 詳しくはこちらの画像リンクから

北村さんに今後の課題や目標について聞くと「全国16か所開催はあくまで最低ラインです。清走中を通してより多くの人にゴミ拾いの楽しさを届けていければと思っています!」とのこと。

「誰かがやってくれる」と横目に見てきたゴミ拾いを、「楽しさ」に変えた長野発の清走中。
全国の子どもたち、大人たちが楽しそうにゴミ拾いをする未来は、そう遠くないのかもしれません。

問い合わせ先:seisouchu@gab.tokyo(お問い合わせの際は@を半角に直してください。)

*清走中®の名称はフジテレビの許可を経て使用しており、商標登録済みの固有名称です。

参考:写真引用

【論文】長野県から考える海洋プラスチックゴミ問題解決に向けた多世代型環境教育とは
https://note.com/hk_yuto_0208/n/nc629a6b38606

【WWF  海洋プラスチック問題について】】
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html? 

写真提供:株式会社Gab

株式会社Gabの皆さん