NPO法人どんつく 理事長  熊谷圭笑さん

その人らしさを大切に『わがまま』を言える環境づくりを目指す

木造平屋の民家を改装して作られた、デイサービスセンター。
L字型の建物の前には、さまざまな庭木が植えられた可愛らしい庭があり、鮮やかな南天の実が緑の木々に映えています。その庭木を背景に、味わいのある文字で書かれた「宅老所どんつく」という看板が立てられていました。
一歩中に足を踏み入れると、職員の元気な声が響いています。

看板前で、理事長の熊谷さん

「自分たちで施設をつくれば、思うような介護サービスが提供できる」と、現理事長の熊谷圭笑(たまえ)さんが、介護施設で働いていた同僚3人と立ち上げに動き出したのは2012年。翌年4月に「宅老所どんつく」を開所し、少しずつ利用者を増やしてきました。2014年にそれまでも実質的な運営を担っていた熊谷さんが法人の理事長となりました。

「これまでは比較的、順調に運営してこれたと思う」と熊谷さん。

「認知症で、どの施設にも適応できず、孤独に過ごされていた方の息子さんから、ここには馴染むことができて、本当にありがたかったと言われたとき、とても嬉しかった」とエピソードを話してくれました。

またそれは「定員9人の小規模なデイサービスだからできたと感じた」そうです。アットホームな雰囲気を活かして運営してきました。

しかし介護保険事業は定員以上の受け入れができないため、人数の変動によって運営が左右される面もあります。村内のデイサービス事業所はここしかありません。そこで、すぐ隣の敷地に15人定員の施設が新たに建設されることになりました。

今後は「新たな取り組みが必要になる」と、新施設が開所したら、「今の施設を村の人たちに活用してもらえるようにしたい」と考えています。

「これまでやってきてここが良かった、と思えることは?」という質問に、「若い人が働ける場所をつくれたこと。ここをそんな原点にすることができた」と熊谷さんは話します。

施設内の一角では、椅子に座った利用者が、職員のかけ声に合せて楽しそうに体操をしていました。

食事は専門のスタッフがすべて手作りで

一方、キッチンでは手作りされた昼食が湯気を立てていて、利用者が自宅で過ごすのと同じように、くつろいだ一日を送ることができるような配慮が、数多く見受けられました。

NPO法人どんつく
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取材:2020年12月2日 宅老所『どんつく』にて
文責:ソーシャルライター 増田綾子