歴史的文化遺産を活かした地域振興とまちづくり/香山 篤美

平成12年に長野市が商工会議所を窓口に住民の参加を得て「松代地区中心市街地活性化基本計画」を立案。「信州まるごと博物館構想」にまとめ、30事業を計画し国の認定を受けました。計画実現のために、住民主体のまちづくりを進めるグループとして、平成13年に100名の住民有志の参画を得て「夢空間松代のまちと心を育てる会」が結成されました。

町内に埋もれていた歴史的文化遺産を住民自らが発掘し、磨き上げて「見える化」。点在する地域資源を結びつけ、点から線に・線から面にと「まち歩きコース」を拡大し、松代町全体を博物館と見立てたまちづくりを推進してきました。松代のまちづくりに取り組んできた先人達の想いに学び、想いを受け継いでまちづくりを推進しています。

筆者と冊子『ふるさと松代再発見』

20余年の活動で発見してきた松代の魅力を次世代にどう伝えていくかが当面の課題となっています。

一昨年に真田信之公の松代入部400年を記念し、松代地域を挙げて記念事業を実施した時、松代地域の小学校、中学校の生徒さんが記念事業に参画し松代の歴史を学ぶ機会があり、NPO夢空間も学校の先生方と連携して生徒さんの学びをサポートさせていただきました。 

この流れを切らさないようにするため、2023年から夢空間の活動の一環として「ふるさと松代再発見プロジェクト」を立ち上げました。長野県地域発元気づくり支援金をいただき、松代のことを学ぶための資料を冊子化。長野市教育委員会のご理解の下、生徒さんがウェブ上で資料が検索できるようにし、松代地域の小中学校や松代高校と連携して、生徒さんが総合的な学習や探求の時間などで松代のことを学ぶ時の手助けを行っています。 こうした取り組みを通じ、子どもたちがふるさと松代の魅力を再発見して松代を好きになり、将来、松代の発展を支える人材に育っていくことを願い、今後も努力していきたいと思っています。

    執筆:NPO法人 夢空間松代のまちと心を育てる会 理事長 香山 篤美(かやま あつみ)
    初出:長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2025年10月掲載