「いちごカフェまつしろ」は、発達障がいを持っている人やその家族、地域の身近な理解者(サポーター)が気軽に集えて笑顔で話せる場です。当事者、保護者、キャリアを積んだ先輩ママさん、地域の専門家が参加し、情報交換や相談もできます。

発達障がいとは、先天的に脳機能の発達がアンバランスで、その特性によって学校や職場などの社会生活に支障をきたしている状態をいいます。症状や困りごとは人それぞれで診断名も分かれますが、環境や周囲との関わりのミスマッチから生活上に困難を感じます。外見からはわかりにくく、さまざまな生きづらさを感じています。わがまま、困った子、変わった人、怠けている、などと批判されることも少なくありません。一方で、環境を調整し、周囲がその人の個性や能力などを理解して、少しのサポートができたら、生きづらさが軽減されると考えます。
かつて発達障がいの理解を深めようと県主催のサポーター養成講座を開いた際、参加した保護者の話が尽きず、同じ思いを持った人が集って語れる場所の必要性を感じました。これがいちごカフェまつしろを始めるきっかけになりました。当初は保護者向けを考えていましたが、当事者からの問い合わせが多く、保護者も当事者も、サポートしたい人もみんなが集える場所にしたのです。実際、発達障がいを持つ子の親が当事者の気持ちを聞くことで、「我が子の気持ちを理解できるようになった」ということがあります。
初めて参加する人のほとんどがひとりで悩み、緊張しています。自分自身のことだけではなく、子の不登校や学校でのトラブル、親亡き後のこと、パートナーのこと。一度では解決しないかもしれないけれど、当事者、保護者、キャリアを積んだ先輩ママさんが話を聞き、こわばった心を解きほぐしながら解決の糸口を探し出します。
立ち上げから7年。参加者の中には、自分の地域で自助会を立ち上げた人も複数います。安心して参加できる場が一つでも増えていくのは、私たちの希望であり、最大の喜びです。「共感してくれる人がいる、ひとりじゃない」「ほっとできる」。そんな場所を目指しています。
執筆:いちごカフェまつしろ 代表 北村玲子
初出:長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2024年6月掲載