「意欲あるすべての子どもたちに学習機会を提供したい。そして自分の未来を切り拓く力をつけてほしい」という想いからNPO活動がスタートしました。事情があって学校に通えない子や勉強に遅れが見られる子も利用しやすいシステムを考え、サービスを提供してきました。毎月第2・第4土曜日の午後に市ふれあい福祉センター会議室で開催している「アイウィル学習室」は、小5から高校生まで誰でも気軽に勉強できる自習型の教室です。今年で15年目となり、3月9日には300回目の節目を迎えました。利用者は延べ2300人を超えます。
こちらに足を運ぶことが困難な生徒さんのために「出張学習室」も行っています。過去には、児童養護施設や公立小中学校へ出向き、学習のお手伝いをしました。2016年から長野市より委託されている「長野市生活困窮者学習支援事業」を中心に、訪問型の学習支援活動も続けています。行政と連携できるようになったことで、学習支援を必要としているご家庭とつながりが持てるようになりました。

私たちは家庭教師の団体なので、子どもたちの日々の生活の様子や悩みを見聞きすることが多いです。ときには一緒に悩み、苦しむこともありますが、それ以上に子どもたちの成長を感じる場面が多くあります。入試前の面接練習のときに、「早く就職して母を助けたい」「学費を自分で貯めて進学したい」という話を聞いて思わず泣きそうになったことがありました。大学入学後に、素晴らしい成績表を持って会いに来てくれた生徒もいました。
共に学び、喜びを分かち合うことができるのも家庭教師の醍醐味です。「学習支援」というと、私たちの側から何かを与えているような印象を持たれるかもしれませんが、実際には、子どもたちや保護者の方々から学ぶことばかりです。
そんな子どもたちのために、寄付等で支えてくださる支援者の方々の存在も大きいです。一緒に活動する仲間も募集しています。子育ては長くて大変な道のりですが、子どもたちの自立に向けて、家庭と学校と地域の連携を深めていきましょう。
執筆:NPO法人プロ家庭教師のネットワーク アイウィル事務局 上垣直美
初出 : 長野市民新聞 NPOリレーコラム「空SORA」2024年5月掲載