とよの福向チーム集楽元快 代表 清水厚子さん

とよの福向チーム集楽元快(しゅうらくげんかい)代表の清水厚子さんは、令和元年東日本台風(19号)で甚大な被害を受けた長野市豊野地区に暮らしています。

被災後、「誰もが困難の中にいるはず」「誰もが明かりが灯るまちを取り戻したいはず」と「とよの福向チーム(しゅう)楽元(らくげん)(かい)」「まちの縁側ぬくぬく亭」を仲間と共に立ち上げ、地区住民の心の復興活動に取り組んできました。

「困っていることを何とかしたくなっただけ」と言う清水さん。60歳で県職を退職するまでの38年間は一貫して福祉畑を歩み、ケースワーカーとして多くの人の“困っていること”を支援してきました。その経験から言える言葉です。

被災時、自宅は床下浸水でしたが、次男宅は186センチの床上浸水。駐車場に建てたテントに食事を運んでいた清水さんは、同じように大変な思いをしている周りの家を見て、「一緒に食べませんか?」と声をかけました。

次第に、駐車場は炊き出し場のように。さらに、生活用品も衣服もない状態をなんとかしたくなり、友人知人に声をかけて集めた物資を「リンゴの湯」で無償提供しました。この時の仲間と共に今も活動を続けています。

それより以前の2014年、小隣互(こりんご)(こりんご)と称した、誰でも立ち寄れる「まちの縁側」を開所。きっかけは、認知症で入院していた母が口にする「お茶飲みしてえなぁ」。近所の人たちとの交流を懐かしんでいる母の想いをなんとかしたかったのです。外出許可をもらった母は、訪れる人たちとお茶飲みができました。

つながりの重要さを人一倍認識し、実感している清水さんの「なんとかしたい」という想いは今も熱く続いています。

プロフィール
1951年生まれ。精神保健福祉士、社会福祉士。防災交流センターにコミュニティガーデンを造ろうと中学生らと取り組んでいる。被災した家の庭にあった植木や草花で埋め尽くす予定。

団体情報
とよの福向チーム集楽元快(しゅうらくげんかい)

取材・執筆 市民ライター 佐藤テイ子

(記事初出:市民協働サポートセンター発行「機関紙まんまる」2025年冬号)