被爆体験を聴く会 代表 土田昇さん

会社の方針により51歳で早期退職した土田さん。関連会社への再雇用という措置に納得できずにいましたが、「人生の後半戦に臨む良いタイミングだ」と捉え直したそうです。これをきっかけに価値観はリセットされ、チャレンジ精神とポジティブな思考が培われました。それが土田さんを「快活な人」と印象づけるのかもしれません。

仕事一辺倒だった自分を振り返り、これからは「人の役に立つ仕事をしよう」「地域と交流をもって暮らそう」と決めました。

そして、第2の職場に身を置きながら、NHK学園社会福祉コースで介護福祉士資格取得に向けて学び始めます。同時に長野市の地域助け合い事業にも参加。福祉有償運送運転者の講習を受けて、地域の移動困難な人の送迎、高齢者の買い物や掃除援助に取り組んでいきました。

2021年3月に退職した後は、デイサービスでの仕事を生活基盤としながら、多岐にわたるボランティアに尽力しています。その一つである、核兵器廃絶への思いを次世代につなげる活動はライフワークです。

2015年、広島で開催された「CSネットワーク全国大会」に参加した際、広島代表から「『被爆体験を聴く会』を長野でも」と打診されました。思いに共感した土田さんは、長野で同会を立ち上げると同時に代表に就き、2019年に被爆体験伝承者を招いた講演会を開催。その後は毎年夏に平和学習会を開いています。

昨年夏の「NPOカフェまんまる わたしたちの考える平和」では、平和活動について講演し、学生をはじめ多くの市民が参加しました。土田さんが投じた一石によって、平和を願う思いは未来へつながっていきます。 

※CSネットワーク:NHK学園社会福祉コースの卒業生で構成され、交流を通じて学びの実践や情報交換を行っている

<プロフィール>
長野市在住。趣味の一つは音楽で、長野市を本拠地に活動する男声合唱団「ZEN」に所属。パートはバス。被爆体験を聴く会代表、CSネットワーク長野事務局長など

<団体情報>
被爆体験を聴く会
メール noboru.mail6630@gmail.com  

取材・執筆 ソーシャルライター 佐藤定子

(記事初出:市民協働サポートセンター発行「機関紙まんまる」2024年夏号)