SDGsコラム11 生まれるイノベーションの可能性

「SDGs全国フォーラム長野2020」が、1月30・31日とオンラインで開催された。一日目の基調講演は、マーケティングコンサルタントで、生命・生活・人生のあり方を問うライフデザインを理念として活躍する谷口正和氏。美術大学卒、デザイン志向を土台とし、感性を大事にしたマーケティング理論は、近著「二分の一革命」に説明されている。

SDGs ゴールパネル9

阿部県知事との対話の中で谷口氏は「コロナを言い訳として、今まで自分が言えなかったことを言おう」と訴えていた。「初めて自分が自分の内側に旅をする時」とし、自分の表現への投資が必要で、自身の魅力や生きる価値を顕在化させていくことこそが、次の時代を作る鍵となると言うのだ。それが連鎖し大きく時代が変容していく予感がする議論だった。

SDGsの目標9では「レジリエント(強靭)なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーション拡大を図る」となっている。今までの概念であれば、アフリカ諸国における、公共工事推進のようなインフラをイメージする人も多いだろう。しかし、今、アフリカではこうした既存のインフラ事業のほかに、ICTを活用した金融システム等の開発が進んでいる。しかも米国や英国などから、地域のベンチャービジネスへの投資が一気に進んできている。

日本人についても、2月中旬に、15億円規模のベンチャーキャピタルファンドをアフリカで結成したとネットで発表されたばかりだ。その投資家は30代の青年、寺久保琢磨氏だ。両親が市内に移住しており、県が信大繊維学部を会場に主催したベンチャーサミット2013にも参加し、当時は投資会社社員として参加していた。

米国のSNSクラブハウスのサンプル

このようなニュースが本人の口からシェアされるのが今、日本でも人気のSNS「Clubhouse」だ。昨年春に米国でスタートしたアプリで、紹介制で実名登録が基本。投資家や起業家、政治家、芸能人などの話をラジオ番組のように、聞き、手を上げれば発言することも可能だ。直接世界の人材がつながり、ビジネスマッチングが生まれ始めている。こうしたツールの流行でライフスタイルのイノベーションが信州から生まれる日もそう遠くないだろう。

文責:ナガクル編集デスク・フリーライター寺澤順子
長野市民新聞 SDGsコラム「地域を救え! 地球を救え! SDGs達成への挑戦」2021年2月23日掲載