NPO法人 アリスチャイルドメイト理事 福原裕美子さん

物静かな声で「安心して子育てができる環境づくりのお手伝いをしたい」と話す福原さん。

振り返ると、自身の仕事をしながらの子育ては、毎日が息つく暇もないほどの忙しさでした。

共働きで、自家用車は持たず、少しの間だけでも子どもの面倒を見てくれる親や縁者が近くにおらず、「始発列車で出勤」「ベビーシッターを何人もお願いする」「二重保育でなんとか卒園できた」など、つなわたりをするようにして乗り越えてきました。これら当時の経験が同法人を立ち上げる原動力となりました。

1993年に現東御市に移住。翌年、ベビーシッターを主とした活動を長野市で開始しました。仲間3人とチラシを作り、配るというささやかなスタートでしたが、まもなくして信濃町のスキー場から声がかかり、冬場に設置される託児室を預かることになりました。これを機に養育支援や病院内保育園などの仕事を増やしていきました。

「福祉にお金を払うことに違和感を持つ風潮が当時ありました。そこを理解してもらうことが難しかった」というスタート時でしたが、次第に「もっと早く利用すればよかった」という声が聞かれるようになりました。

ベビーシッターの仕事は「実は目に見えない支援の方が大きいんです」と福原さん。「会話ができる」「話を聴いてもらえる」「同じ空間に人がいるだけで安心する」といった母親の思いや悩みを受け止め、寄り添う支援です。「訪問することで、風が入り、空気も気持ちもゆるみます。少々年齢高めのスタッフは支援の時間をとても大事にし、寄り添うことを楽しんでいます」。

プロフィール
保育士。1952年、東京都練馬区生まれ。埼玉県川越市で育つ。和光市の公立保育園が長年の職場。信州の自然や風土が好きで、若いころから“月イチ”で県内各地を訪れる。移住は、子どもにもその素晴らしさを知ってほしいという思いから。

団体紹介
NPO法人 アリスチャイルドメイト
TEL:026-269-8320 Mobile : 090-4093- 5407
メール: alice-child@coral.plala.or.jp

(記事初出:市民協働サポートセンター発行「機関紙まんまる」2023年冬号)

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