信州とよさこいの魅力を発信!YOSAKOIチーム「信衆」が松本市浅間温泉たいまつ祭りで演舞

2023年10月14日(土曜日)。日本三大奇祭の一つにも数えられる「たいまつ祭り」が松本市の浅間温泉で開催されました。

会場では、「信衆」というYOSAKOIチームが浅間温泉に住む人の安全と五穀豊穣を願って演舞を披露しました。

この演舞を成功させるために、積み重ねられた努力。明るい笑顔と強い絆の裏に隠れた目的、そして「信衆」のメンバーが見たい未来とは、一体どのようなものでしょうか。

日本三大奇祭「たいまつ祭り」とは?

浅間温泉の町内会や企業など複数の団体が、たいまつ(藁で作った直径約1〜2m、全長約2〜3mの円柱)を曳きながら浅間温泉の中を練り歩きます。

すすを顔に塗った黒い人たち、燃え続けるたいまつ。
そして最後に、住民の安全と五穀豊穣という願いを込めて燃え盛る炎の中にたいまつを投げ込むのです。

YOSAKOIチーム「信衆」の想い

話を聞かせてくれた代表の神原さん(右)と副代表の中島さん(左)

「信衆」のメンバーはどのような想いで演舞するのか、代表の神原さんと副代表の中島さんに話をききました(以下、敬称略)。

信州の魅力を発信して、いつか観光大使に

ーーはじめに皆さんのことを教えてください。

神原:

私たちは「信衆」というYOSAKOIチームで、2012年から活動しています。メンバーは35名程度で20代前半から30代半ばという年齢構成になっていますね。

メンバーの半分以上は信州大学を卒業して長野県内に残ったり、いったん就職で県外へ出てまた戻ってきた人です。あとは、他の大学の卒業生もいて、現在はそれぞれ仕事をしながら信衆の活動に参加しています。

ーーよさこいの演舞では、メンバーそれぞれにどのような役割があるのですか?

神原:

マイクを持ってパフォーマンスする人がだいたい2人います。男性と女性がいて、掛け声をかけたりセリフを言ったりしますね。女性は歌のパートもあります。ただ、今回は会場の都合で歌については事前に録音した音源を流します。

あとは踊り子が20人〜30人、演舞の世界観を表現するために幕や旗を扱う大道具と呼ばれる人が4〜5人いますね。大道具は基本的に専任ですが、演舞やその時のメンバー構成によって踊り子が兼任することもあります。

ーー信衆の活動目的を教えてください。

神原:

チームの活動目的は、観光大使として信州とよさこいの魅力を発信していくことです。私たちメンバーの中には、県外に出てもまた戻ってくるほど信州が好きな人もいます。よさこいはもちろんですが、信州の伝統文化や自然の魅力を発信していこう、という気持ちでやっていますね。

メンバーの想いをまとめて生まれる一体感

ーー(リハーサルを見学して)合同練習だけで演舞を作り上げるのは難しいと感じました。

神原:

メンバーには振り付けのお手本動画を作って配布しています。そして、合同練習の日時を決めてそれまでに各自が振り付けを覚えてくるっていうやり方で進めていますね。

ーーもし私がメンバーだったら、覚えられるか不安です。皆さんはどうですか?

神原:

メンバーにはよさこいの経験者や信衆に長く在籍している人もいます。みんな期限までにしっかり覚えてきてくれるので、本当に助かっています。

ーーチームを運営する中で苦労することはありますか?

神原:

メンバーの年齢層や住んでいる場所、仕事やライフスタイルはそれぞれです。これだけの人数が本番や合同練習にスケジュールを合わせて集まるっていう難しさを感じるときがありますね。

あとはメンバーそれぞれ、よさこいやチームに対する想いがあります。メンバーの気持ちを汲み取りながら、でも一つになるようにまとめていく。個人としてもチームとしても演舞を大切に思ってもらうのは難しかったですね。

ただ、在籍期間の長いメンバーが増えてきたこともあり、最近は一体感ができてきました。ユニークなチームのカラーも見えてきて、最近ではそれを楽しめていますね。

中島:

メンバーそれぞれが、表現の方法や動作ひとつ一つにこだわりを持ってやっています。ただ、以前は求めるレベルにバラツキがあったり、求める方向性にズレがあったりしてまとめるのが大変でした。

神原が言うように、最近では自然にまとまるようになってきましたね。

ーー振り付けはどのように作っているのですか?

神原:

構成班という振り付けを考えるメンバーがいます。他のメンバーには振り付けができた時点でお手本動画を配布して、振り付けに込めた意味や願いを伝えるようにしています。

一緒に作ったメンバーは過程や背景が分かっているため、振り付けの意味を共有できます。ただ、動画ではじめて振り付けを見るメンバーにはなかなか伝わらなかったり、個人の考えと合わないこともありますね。

とにかく振り付けの意味を丁寧に説明して、みんなで一つの演舞を作り上げています。

有名な「たいまつ祭り」へ参加できる喜び

ーーたいまつ祭りに初めて参加したのは2017年だったと聞きました。きっかけを教えてください。

神原:

信衆の活動をサポートしてくれている方で、浅間温泉に実家がある方がいます。その方が企画を考えてたいまつ祭りの実行委員会に話をした、というのがきっかけですね。

中島:

たいまつ祭りへの参加を認めてもらう前に、実行委員会にお披露目したことがありました。たいまつ祭りは「日本三大奇祭」として有名なお祭りで、実行委員会の中でも上の立場の方が見に来られたんです。

ーーその時は、どのような様子だったんですか?

中島:

その場で参加許可をいただけましたが、手放しで喜んでくれた訳ではありませんでした。その日はお披露目が終わった後も不安な気持ちが残っていましたね。

ただ、私たちはどのイベントやお祭りでも「やるからには絶対に盛り上げる」という気持ちでやっています。この時もたいまつ祭りを最高に盛り上げたいという気持ちでしたね。

たいまつ祭りそのものは、松本市を中心に活動する私たちにとって身近なものでした。「まさか、たいまつ祭りで演舞させてもらえるなんて!」とすごく喜んだことを今でも覚えています。

演舞はスタートから盛り上がり、ラストは最高潮に

ーー今日の演舞の見どころを教えてください。

神原:

はじまった直後からトップギアで一気に盛り上がるような構成になっています。「これからお祭りが始まる」というワクワク感を感じられると思います。

クライマックスでは踊り子が持つ赤い布や、大道具が扱う幕や旗が高揚感を誘います。
たいまつ祭りの最後に、たいまつを燃え上がる炎の中に投げ込んで浅間温泉の安全と五穀豊穣を願う、というシーンがあります。

そのシーンを再現して、お祭りに参加した人の健康や幸せを願って演舞をやっていますね。

中島:

私は衣装を担当しているので、踊り子の衣装にも注目してほしいと思っています。

クライマックスは私にとっても大切な部分です。演舞の中でも最高潮に盛り上がるので、すべてを出し切る気持ちでやっています。「たいまつ祭りがこの浅間温泉でずっと続いて言ってほしい」という想いは、参加する皆さんも私たちも同じです。

私たちメンバーだけでなく、参加する皆さんとも一体感を感じられたらいいなと思っていますね。

ーー演舞を見てくれる人へメッセージをお願いします。

神原:

私たちの演舞が、たいまつ祭りを盛り上げる一助となり、参加する皆さんが「楽しかったな」「たいまつ祭りが盛り上がっているな」と感じてもらえたら嬉しいです。

中島:

(新型コロナウイルスの影響で)大々的に演舞をするのは久しぶりなんです。メンバーにとっては「久しぶりに踊れて良かった」、参加する皆さんにとっては「信州の魅力を再発見できた」と思ってもらえれば嬉しいですね。

ーーステキな演舞になることを願っています。ありがとうございました。

いざ、本番。演舞のタイトルは「さぁ出番だ、火を灯せ!!」

メンバーの想いを込めた演舞はどのようなものだったのでしょうか?

そのすべてを、動画に収めました。

動画提供:YOSAKOIチーム「信衆」サポート たけまる

本番前、辺りは静まりかえり、緊迫した雰囲気がありました。
しかし、いざ演舞がはじまると最初から一気に気持ちが駆け上がります。

途中、バラード調の旋律が聞こえたかと思うと、次第にクライマックスへ。
一体感、迫力、気概。そのような気持ちが、観ている人の心にも湧き上がっていたことでしょう。


取材を通して、若い力に寄せる期待

「信衆」は演舞を通じて、「信州とよさこいの魅力を伝えたい」、との想いで活動しています。
近年では、高齢化と少子化などによって地域の活動に関わる人が減り、お祭りや行事の運営に困ったり、開催を断念したりせざるを得ないことが、各地で社会課題となっています。

地域の伝統や文化を受け継ぐためにも、地元に残った若者、そして県外へ出ても戻ってきた信衆に集まるような若い力が必要です。

「信衆」のメンバーの若さとチーム力、そして信州を盛り上げたいという気持ちが、信州を元気にするヒントとなればと思います。

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YOSAKOIチーム「信衆」では信州各地のお祭りやイベントを盛り上げるため、演舞の依頼を募集しています(無料)。

YOSAKOIチーム「信衆」
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<取材・執筆> ソーシャルライター 廣石 健悟